「おかえり」「いただきます・ごちそうさま」 「おやすみなさい」といった日常の“当たり前”を経験できていない子どもは、この現代日本においてまだまだ存在しているといいます。親も懸命に世話をしようとしてはいるものの、過去自身が受けた「しんどさ」や生活の忙しさから、子どもへ十分に目が向かないのだとか。そうした家族に寄り添い、共に考え、子ども一人ひとりに関われる居場所のニーズが高まっています。「西成チャイルド・ケア・センター」(大阪市内・西成区)代表理事の川辺康子さんに話を聞きました。

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川辺さんはこども食堂の運営を通し、長年にわたり地域の子どもたちや家庭を支え続けてきました。多くのボランティアとともに活動を重ねる中で、次第に「子どもたちを支えるには食堂だけでは限界がある」と感じるようになったといいます。
「子どもが根っこをしっかり生やせる場所が必要。そうじゃないと、上に大きく伸びても何かの拍子でポキッと倒れてしまう。地域の中でちゃんと生活できるように、親御さんも含めて安心して暮らせる場所を提供できれば」と川辺さん。というのも、子育てに難しさを感じる親の多くは、自身が子どもの頃に十分な愛情や安心感を得られなかった経験を持っているといいます。そのため人に頼ることも弱音も吐けず、誰にも相談できないまま孤立してしまうケースも少なくないとか。
そこで川辺さんは「にしなり つながりの家」プロジェクト(正式名称ではスペースに星印が入る)を立ち上げました。
●困ったときに駆け込めスタッフと一緒に生活できる場所
●みんなと一緒に食事ができ学べる場所
●みんながお互いを支え合える場所
これらを目指し、親も含めた“家庭まるごと”を支えられる拠点を設立すべく準備を進めているそうです。
「子どもたちにとっては『自分が生まれた場所』が全てなんですよね。布団がなくて板の間で寝る生活をずっとしていたら、それがその子にとっての普通なんです。だからまずは、何ができないのかを一緒に考えたり、分からないことを一緒に経験して教える場所をつくりたい」(川辺さん)
過去に親子で滞在できる支援活動を試験的に実施したところ、学校に通えていなかった子どもが毎日登校するように。親子に対しての「内側からの支援」は子どもの行動に大きな変化をもたらすことが明らかになったそう。

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「子どもたちの未来を、みんなで見守っていけたらと思っています。ひとりでも多くの方に思いが届きますように」。川辺さんは祈るように述べ、インタビューを締めくくりました。
※ラジオ関西『としちゃん・大貴のええやんカー!やってみよう!!』2025年10月13日放送回より




