プロデューサーは“元・電車の運転手” 兵庫丹波発のVTuber「あいさきちぃ。」誕生秘話を語る

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 ことし、兵庫県丹波市でデビューしたVTuber「あいさきちぃ。」は丹波市・丹波篠山市の地層から発掘された人型恐竜の女の子。現在YouTubeでのライブ配信やイベントへの出演など、活動の幅を広げています。彼女をプロデュースするのは、株式会社IZANY。兵庫県丹波市でVTuber事業のほか、映像制作やホームページ制作などを手がけています。同社代表取締役社長・垣崎辰徳さんに詳しい話を聞きました。

兵庫県丹波市のVTuber『あいさきちぃ。』が誕生したきっかけとは?

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 垣崎さんは元々、電車の運転手をしていたのだそう。「山陰線の餘部(あまるべ)駅を運転するのが夢でJR西日本に入社しました。朝5時台や夜間に海沿いを運転している時に、普段は見られない景色を目にしたことがきっかけで、執行役員の方に直談判し福知山支社の映像制作をさせていただきました。保線や車両・電気・土木にたずさわる人々の働く姿を撮影している時に、こうした職人さんとお客様が繋がっている……と感じられるような映像制作をしたいと思うようになりました」と振り返ります。

JR西日本・餘部駅の景色

 また、親戚が高橋竹山流の津軽三味線の師範をしていることから、津軽三味線を持って外国を旅するように。その中で経験したことも、起業するきっかけとなったと話します。

「旅をする中で、ニューヨークのブルックリンで見たストリートアートに興味を持ちました。その時は電車の運転手をしながら有給を取り、ストリートライブに明け暮れました。すると、最初は興味の無かった人が私のCDを買ってくれるんですよ。『聴衆の興味を惹き購入を促す』という人の心理に次第に興味が湧き、映像やキャラクターを生み出しビジネスにしたいと考えるようになりました」(垣崎さん)

三味線のストリートライブから着想を得た「キャラクタービジネス」

 クリエイティブ事業をあえて丹波市で行う理由を垣崎さんは次のように話します。「去年、一年をかけて丹波市の万博用の映像を作った時のことです。雪どけの1月に咲く花、ハウスで実る苺、春には桜並木に農家の営み。梅雨時期の紫陽花寺、夏の向日葵畑にパラグライダー。秋になると丹波栗のモンブラン、冬の丹波に積もる雪……撮影していく中で、ここは一年中魅力に溢れた場所だということが分かったのです」。

 映像制作をする中で、VTuberの事業を立ち上げた理由には同市への思いがありました。「過疎地域の問題や多文化共生の難しさをはじめ、県立病院の経営苦・高齢化・観光資源のPR不足など多くの課題を抱えていることに直面しました。しかしこれらは観光を起点にすることで解決ができると。そこで、社運をかけてVTuber・あいさきちぃ。を設計しデビューさせることに。現在は、御城印などの地域とのコラボ商品を開発し地域に寄付をしています」と垣崎さんは明かします。

四季折々の美しさを見せる丹波市

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 丹波市の魅力を届けるために活動するYouTuber・あいさきちぃ。と垣崎さん。今後のふたりの活躍から目が離せません。

(取材・文=迫田ヒロミ)

※ラジオ関西『Clip』2025年10月29日放送回より

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