物価の高騰が続く中、長く地域で親しまれてきた店の多くが経営のかじ取りに苦慮している。神戸市須磨区の須磨寺参道にある和菓子店「御菓子司 大師餅本舗」も、140年にわたり受け継いできた味を守り続けようと奮闘している店のひとつだ。
店を切り盛りするのは4代目の野瀬慶子さん。小さい頃から年末年始の繁忙期には家族とともに店に泊まり込むこともあったといい、「慣れ親しんだ場所」だという。
店では、須磨寺の宗祖・弘法大師ゆかりの名を持つ「大師餅」や、同寺に首塚がある平敦盛にちなんだ「敦盛団子」など、地域の歴史を反映した和菓子が作られてきた。どれも参拝客や地域の人々に親しまれ、日常の手土産としても重宝されているという。
伝統を受け継ぐ一方で、時代の変化に合わせた工夫も続けている。物価高騰で原材料費が上がる中、「同じ味を続けるためには、新しい挑戦も必要になる」と考え、コーヒーに合う焼き菓子など新たな商品づくりにも取り組んでいる。
須磨寺周辺では毎月20日と21日に「大師縁日」が開かれ、にぎわいをみせる。同店でも縁日に合わせて店頭に鉄板を出し、焼きまんじゅうを販売。昔ながらの味を求めて訪れる人の姿もあり、2日で1000個を売り上げたときも。

野瀬さんは「物価の高騰や跡継ぎの問題など、続けていくための課題は多い」としながらも、「地域で親しまれてきた味を、絶対に守りたい」と話す。
140年続いた店の営みを、次の世代へどうつないでいくか。地域で愛されてきた和菓子店の挑戦は続いている。
※ラジオ関西『三上公也の朝は恋人』より





