夏の風物詩といえば「花火大会」。ですが、実は冬の方が綺麗に見えるそう。それが本当であれば、催されるのはなぜ夏場が多いのでしょうか? 気になった筆者は、葛城煙火株式会社(本社:大阪市西成区)の岩本さんに話を聞きました。

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●花火は冬の方が綺麗に見えるのは“本当”だった
「確かに、冬の花火は夏に比べて綺麗に見えます」と岩本さんは回答。その理由は“空気の違い”にあるといいます。冬の空気は冷えており、空気中のチリや水蒸気量が少なく澄んでいるため光の屈折が少なくなります。一方、夏の空気はあたたかく水蒸気を多く含むため、光の屈折を起こしやすいのだとか。こうした理由から、光がまっすぐ人間の目にとどきやすいのは冬であり、花火もくっきりクリアに見えるとのことです。
●花火大会の由来
江戸時代後期の1733年(享保18年)に、8代将軍・徳川吉宗が開催した「水神祭」が花火大会の原型とされているよう。前年の1732年(享保17年)、西日本一帯で発生した稲作の大規模な害虫被害により飢饉が起こり、餓死者は全国で97万人に登ったのだそう。当時の人々はこのような災厄について「悪霊の仕業」であると考えていたとか。そこで吉宗は水神祭にて大飢饉で犠牲となった人々の慰霊と悪霊退散を祈願し、その際に花火を打ち上げたのです。

●花火大会が夏に多いのはなぜ?
上で述べたように、花火には灯籠流しなどと同じく“鎮魂”の意味があります。コロナ禍以降、開催を変更した花火大会もありますが、先祖や亡くなった人達の霊が帰ってくるとされる盆時期、すなわち「夏季」におおむね集中しているのはこうした理由によるものだそうです。

●花火が最も綺麗に見える環境とは
「風が少し吹いているぐらいの状態で、風上側から見るのがベスト」と岩本さんは説明。花火から出る煙は風に乗り風上から風下に流れて行くため、風下で見ると花火が見づらくなってしまいます。無風状態も花火鑑賞にとっては具合が悪いそう。煙がその場に留まってしまうからです。ではどのくらいの風がよいのか聞くと「毎秒風速2~4メートルぐらいの風」と回答が。ちなみに、風速7メートル以上の風が断続的に吹いている場合、火の粉が風に乗って遠方まで飛散する危険性があるため中止を検討すると言います。

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これからのシーズン、もし花火イベント開催の情報をキャッチしたら足を運んでみるといいかもしれません。
(取材・文=堀田将生)



