スーパーやコンビニなどで複数個セットになったプリンやヨーグルトが売られているのを目にしたことがある人は多いと思います。では、その多くが「プリン×3個」「ヨーグルト×4個」でセットされていることに気づいていますか? その理由が気になった筆者は、環太平洋大学の上田隆穂特任教授に取材しました。
☆☆☆☆
●プリンが3個セットとされたワケ
プリンが店頭で販売されだした1970年代は、まさに高度経済成長期。どの家庭も父親が大黒柱として朝から晩まで忙しく働いている時代でした。この時代は「両親+子ども2人」という家族構成が多かったそう。そのため、3時のおやつタイムは父親以外の3人で楽しんでいたようです。こうした背景から、プリンの多くは3個セットになったと考えられているといいます。

●ヨーグルトが4個セットとされたワケ
プリンはおやつですが、ヨーグルトは朝食の副菜として食べられていました。朝は家族全員揃って食事をするのがスタンダードな時代だったため、4個セットになったとか。

●プリンとヨーグルトのセット個数、なぜ昔も今も同じなの?
現在はさまざまな働き方があります。出勤時間や退勤時間も、昔よく言われていた「9時5時」だけではなくなってきています。加えて、在宅ワークなども浸透し個々の労働時間帯に変化が出てきました。加えて「子どもが1人」の家庭が増えたことから、おやつの時間に家族みんなで食べきれる“1セット3個”をプリンは継続しているという見解が有力とのこと。ヨーグルトも4個セットがスタンダードなのは同じ理由だそうで、朝に家族3人で食べて余った1つを在宅の大人で……という事だそう。とはいえ、近頃では状況に合わせてチョイスできるよう、プリンもヨーグルトも「3個パターン」と「4個パターン」の2種類が用意される傾向にあるとか。

●セット食品の個数はどのように決めているの?
上田さんによると「スーパーのカゴ(ワンバスケット)いっぱいに商品を詰めたときの金額に基づいている」とのこと。ちなみに、現在はワンバスケットで約2000円なのだとか。これに合わせてセット個数や内容量は適宜設定されているといいます。また最近はフードロスの観点から「賞味期限を過ぎない程度の個数」を販売することも重要視されています。たとえば焼きそばやパックごはんは3個、ウインナーは2個でセットされていることが多いですが、これは「賞味期限内に食べきれる」かつ「少しでも安価で提供する」という消費者に対する企業の思いが反映されているとうかがえます。

☆☆☆☆
普段何気なく手に取っている食品ですが、実はさまざまな意図が設計されているということが分かった取材でした。
(取材・文=堀田将生)



