兵庫県宍粟(しそう)市の福元晶三市長が、このほど、ラジオ関西の生放送に出演し、市域の9割を占める森林の魅力や、地域を元気にするための取り組みなどについて語った。
兵庫県の中西部に位置する宍粟市は、2005(平成17)年4月に、山崎、一宮、波賀、千種の4町が合併して誕生したまちで、今年(2025年)市制20周年を迎えた。県内では豊岡市に次いで2番目に面積が広く「滋賀県の琵琶湖と同じくらいの大きさ。市(の面積)の9割が豊かな森で、林業で栄えたまち」。『しそう森林王国』とも称される。
福元市長は、その森こそが市の魅力と胸を張る。「社会構造の変化の中で生きづらさを感じる人が、森林に触れることで“明日から頑張ろう”と思えることも。県内で唯一『森林セラピー』の基地が3カ所あり、特にコロナ禍以降、多くの人が森林浴などに訪れている。野外のフィールドを活用しながら、交流人口を増やしていきたい」と語った。
宍粟市では、大正時代から昭和にかけて、切り出した木材を運ぶための鉄道『波賀森林鉄道』が走っていた。1968年に廃線となったが、地域住民を中心とする『波賀元気づくりネットワーク』が復活を目指し、ボランティアらの手でレールが敷かれ、678メートルのコースを完成させた。ディーゼル機関車が週末を中心に定期運行している。「子どもたちに夢や希望を与えたいという熱い思いで実現したもの。これからも高みを目指して頑張りたいという思いに、市も伴走していきたい」と力を込めた。

奈良時代に編さんされた『播磨国風土記』には、宍粟市一宮町の神社で酒を作っていたと記されており、現存する風土記では日本酒に関する最古の記述であることから『日本酒発祥の地』とされる。市では『発酵のふるさと』を掲げ、毎年『しそう発酵フェア』が開催されている(2026年2月15日まで)。市内の飲食店が酒粕などを使ったメニューを考案・提供しているもので、福元市長は「地域の食文化に触れてほしい」と微笑んだ。
宍粟市でも全国の地方自治体と同じく人口減少の課題を抱える。「住みたい、住み続けたいと思えるまちづくりが必要。宍粟の歴史や文化、人の営みを大切にして、市民が誇りを持てるまちにしていきたい」と話した。その上で、林業の人材育成を行う専修学校『兵庫県立森林大学』について触れ「林業の機械化が進み、若い人たちも目を向けている。林業事業者が県内で一番多い宍粟市で次の担い手を育成することも、未来に向けてできること」と語った。



