使用済み「使い捨てカイロ」をリサイクル 神戸市で回収スタート 市民の声受け 鉄鋼の原料に

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 12月に入り、寒さも本番を迎える。外で過ごす際には使い捨てカイロを利用する人も多いだろう。神戸市では、使い終わった「使い捨てカイロ」の回収を始めた。

 神戸市では、何に利用されるのか、その目的を明確に定めた上で、効率的に、かつ高品質なリサイクルを進める「まわり続けるリサイクル」を進めている。使い捨てカイロの回収もその一環で、12月から市内の資源回収ステーション「エコノバ」に回収ボックスを設けた。

エコノバに設置された回収ボックス(画像提供:神戸市)
エコノバまるやま(神戸市長田区)に設置された回収ボックス(画像提供:神戸市)

 神戸市が使い捨てカイロ製造の大手・小林製薬(本社・大阪市)と連携し、カイロ回収を行うのは2回目。前回(2025年2月〜5月)は目標の1トンを大幅に上回る3.3トンが集まり、鉄鋼原料となるペレットへ再生処理された。神戸市環境局資源循環課によると、自治体がこのような規模で回収を行ったのは、例がないのではないかという。

 回収の継続を求める市民の声も多く、神戸市は小林製薬と連携し、今回は対象のエコノバを51か所(前回比15カ所増)にし、2026年11月末までに10トンの回収を目指す。メーカーは問わない。回収されたカイロは、ペレットに再生処理され、鉄鋼製品の原料として再利用される予定。

エコノバに設置された回収ボックス(画像提供:神戸市)
エコノバふたば(神戸市長田区)に設置された回収ボックス(画像提供:神戸市)

 同課によると、前回は、目標以上の回収量やホームページの閲覧件数の急増もあり、市民の関心が高かったのではと分析する。「多くの方に協力いただくとともに、エコノバをもっと知っていただく機会になれば。エコノバの場所はホームページのマップで確認してください」と話す。回収を行うエコノバは、今後増やしていく予定だという。

 メーカーでつくる日本カイロ工業会のホームページによると、使い捨てカイロは、鉄が空気中の酸素と反応して酸化鉄になる時に出る熱を利用したもので、1978年に商品化された。2024年シーズン(2024年6月から2025年7月)は、17億7652万枚(前年比101.8%)が販売された。

使い捨てカイロ
使い捨てカイロ

 使用済みのカイロは、自治体によって処分の方法に違いがある。神戸市では、エコノバに持っていけない場合は「燃えないゴミ」となるが、兵庫県内の多くの自治体は「燃えるゴミ」だ。一方で、使用済みのカイロを回収し、水質浄化剤や土壌改良剤へリサイクルする団体もある。

 家庭では、消臭剤や除湿剤として活用する方法もある。使い捨てカイロの原料は、鉄粉・水・食塩・活性炭・バーミキュライトという人工の土。活性炭には消臭効果があり、活性炭・鉄粉・バーミキュライトには除湿効果がある。また、塩を抜けば、ガーデニングにも活用可能。コーヒーフィルターなどでろ過し、水気をしっかり切ればよいという。

エコノバに設置された回収ボックス(画像提供:神戸市)
エコノバあづま(神戸市中央区)に設置された回収ボックス(画像提供:神戸市)
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