戦時下の神戸を舞台とした演劇「流々転々(るるてんてん) KOBE 1942-1946」(2026年2月14・15日、神戸文化ホール)の取材会がこのほど開かれ、出演する俳優の鈴木浩介、美弥るりからが意気込みなどを語った。神戸文化ホール開館50周年を記念したシリーズの集大成的な公演で、制作陣は約1年にわたって神戸市内の各地を歩き取材を重ね、作品の内容に反映させたという。

原作は俳人・西東三鬼の短編集「神戸・続神戸」(新潮文庫)。1942年、東京での言論統制に疲弊した三鬼が移り住んだトアロードのホテル(神戸市中央区)での生活をもとに、奇妙で鮮烈な人間模様を描いた小説として再評価されている作品だ。今回の舞台化では独自の身体表現で定評のある小野寺修二が演出を手がけ、劇作家の山口茜が上演台本を担当した。

東京から神戸へと“逃れてくる”主人公「私」を務めるのは鈴木浩介。その前に現れる2人の女性役を元宝塚歌劇団男役の美弥るりかが演じ分ける。ほかに関西を中心に活動する俳優やダンサー、神戸大学の学生エキストラも加わり、総勢19人が物語を織りなす。
作品は、約1年にわたって神戸市内40カ所以上でのフィールドワークを重ねてつくられた。制作陣は、トアロードや六甲山、阪神・淡路大震災30年の式典にも足を運んだという。取材会で小野寺は「初めて新開地(神戸市兵庫区)に行った時に衝撃を受けた。おしゃれな街・神戸の裏側にある人間力、パワーを感じた」と振り返り、「パントマイムなどの身体表現で、視覚的に魅力的な舞台にしたい」と意気込んだ。
鈴木は「小野寺さんと一緒に作品をやることが長年の夢だった」と明かし、「神戸はいろんなものを失った街である一方、再生していくエネルギー、なくしたことを包み込んでくれるエネルギーを持っていると思う。そんな神戸の姿を皆さんに届けたい」と語った。


今月から東京で稽古が始まっているという。美弥は「今まで経験したことのないような刺激をたくさん受けている。先日は1つの場面をつくり上げるのに11時半から5時くらいまでかけた」と気合いの入った様子を紹介。「(作品に)ここまでの時間、熱、愛情を込めているのはたぶん初めて。自分自身、役者として成長しながら、最高の作品に仕上がるよう1日1日を大切にしたい」と力強く話した。
鈴木と美弥は初共演。お互いの印象を問われ、鈴木は「不思議な空気を持たれている。無口で静かだが、実は何かすごく面白いことを考えているんじゃないか」、美弥は「普段はナチュラルに飾らず接してくださるが、演じるスイッチが入った瞬間、第一声で体がピリピリするような芸術肌、天才肌」とそれぞれ語った。





