神戸市、気象警報を「区ごと」に変更 2026年3月から 防災対応の精度高める目的 政令市で2例目

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 神戸市と神戸地方気象台は24日、市内の気象警報や注意報などを、これまでの「市全域」から「区ごと」に出す新たな運用を始めると発表した。神戸市の地形特性を踏まえ、地域の実情に即したこまやかな情報発信を行うことで、市民に迫る危険をより分かりやすく伝え、防災対応の精度を高めるねらい。同市によると、政令指定都市で区ごとに警報などを出す取り組みは全国で2例目という。運用は2026年3月17日(火)から。

三宮の中心部・フラワーロード沿いに建つ神戸市役所(左側の高層ビル)=神戸市中央区

 現在、神戸市では大雨や暴風などの気象警報・注意報は市全域を一つの区域として発表されている。しかし、市域が広い上、六甲山系によって南北に分断される特有の地形であることから、同じ市内でも状況が大きく異なる場合があり、実際と発表内容にずれが生じることが多かった。このため神戸市は、2021年度から神戸地方気象台に対して区ごとの発表を要望。一方で、気象情報や避難情報を区ごとに確認できる特設サイト「神戸市リアルタイム防災情報」を開設するなど準備も進めてきた。

 変更後は、東灘、灘、兵庫、長田、須磨、垂水、北、中央、西の9区それぞれに発表する。大雨や洪水、暴風、大雪、高潮、波浪などの警報・注意報に加え、土砂災害警戒情報も含む。新運用は2026年3月17日午後1時からの予定。

これまでの発表区域名称(神戸地方気象台作成)
変更後の発表区域名称(神戸地方気象台作成)

 幼稚園や小中学校、義務教育学校などの市立学校園では、学校が立地する区に警報が発表された場合に臨時休校とし、学童保育施設は該当区で警報が出た場合に閉所する。保育所については、立地する区に特別警報が発表された場合に閉める方針で、私立施設や認定こども園も原則同様の対応とする。防災体制や災害対策本部の設置規模、避難情報の発令区域などは、従来どおりとする。

 発表会見で、上山繁・神戸市危機管理監は「北区で大雨が降っていても、東灘区では晴れているというようなことがある。警報に基づき避難情報を発令しても、市民に危機感が伝わりにくい懸念があった」と述べ、これまで市内一律で休校や施設閉鎖、イベント中止を行わざるを得なかったが、変更後は実態に即した対応が可能になるメリットを強調。「きめ細やかな対応が可能になるので市の危機管理体制にとっても非常に有意義。市民の皆さんにはより身近になった情報を活用いただき、適切な避難行動につなげてほしい」と呼びかけた。

 また市の担当者らによると、これまで児童生徒や保護者らから「晴れているのに警報が出たために学校が休みになった」「休校になって子どもが在宅だと親が仕事に行きにくい」などの声が上がっていたという。

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