「伝統行事」「文化財」守るだけでは本当の意味で“残らない” 未来へ繋ぐ為の工夫とは【兵庫・姫路】

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「文化財の保存」「伝統行事の継承」「観光としての公開」、いま観光地ではこれらのバランスのとり方が課題となっています。兵庫県姫路市の北部の書写山に位置し、“西の比叡山”と呼ばれる書寫山圓教寺ではどのような工夫がされているのか、住職の大樹玄承さんに聞きました。

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 同寺のある山内には、国や県の重要文化財に指定された建物や仏像が点在しています。風雨や寒暖差の影響を受けやすく、日常的な点検や修繕を重ねながら公開を続ているといいます。

書寫山圓教寺の「摩尼殿(まにでん)」
書寫山圓教寺の「摩尼殿(まにでん)」

 毎年1月18日に行われる「修正会(しゅしょうえ)鬼追い会式」は同寺を象徴する行事のひとつ。鬼が登場する独特の演出が特徴です。一般参拝客の観覧も認められており、行事そのものを知ってもらうきっかけになっているのだとか。

「修正会鬼追い会式」を見ようとたくさんの人々が集まった
「修正会鬼追い会式」を見ようとたくさんの人々が集まった
毘沙門天の化身とされる「赤鬼」
毘沙門天の化身とされる「赤鬼」

 観光地であると同時に地域の日常とも深く結びついており、地元の小学校では林間学校の行き先にもなっているとのこと。写経や修行体験なども可能で、訪れる人が“それぞれの距離感”で関われる場となっています。なんと映画のロケ地としての活用もされているとか。こうしたことは宗教や文化財を「特別なもの」として意識するのではなく、「日常と地続きのもの」として感じてもらうための工夫のひとつと言えるのかもしれません。

大講堂、食堂、常行堂がコの字型に並び形成される「三之堂(みつのどう)」

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 建物や形式だけが残り、そこに込められてきた意味や記憶が共有されなくなれば継承が難しくなる文化財・伝統行事。神聖さと歴史を守りながらも、人が関わる場であり続けるための取り組みが求められています。

写真中央:書寫山圓教寺の住職 大樹玄承さん 左:パーソナリティの清元秀泰姫路市長 右:ナビゲーターの洲崎春花
(左から)パーソナリティの清元秀泰姫路市長、書寫山圓教寺住職・大樹玄承さん、ナビゲーターの洲崎春花

(取材・文=洲崎春花)
※ラジオ関西「ヒメトピ558」2026年1月9日、16日放送分より

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