率いるのは“オバドル社長”? 女子サッカーチーム「ASハリマアルビオン」 選手の未来見据えた戦略

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 兵庫県播磨地域をホームタウンに、なでしこリーグ1部で戦う女子サッカーチーム「ASハリマアルビオン」では、選手のキャリア支援を軸とした独自の取り組みが注目を集めています。同クラブを率いる代表取締役社長・岸田直美さんに話を聞きました。

(左から)パーソナリティーのTOMMY、ASハリマアルビオン・岸田直美代表取締役社長、パーソナリティーのKanon、パーソナリティーの安本卓史

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 岸田さんは広報手法の一つとして自らを「歌って踊れるオバドル(おばちゃんアイドル)社長」と称し、女子高校生や女子大学生らとともにチアリーダーを結成。ピッチでパフォーマンスを披露するなど、異色のスタイルでも知られています。こうした取り組みは話題性を生み、クラブへの関心を高めるきっかけとなっています。

 一方で、その背景には現実的な経営判断があります。岸田社長は「チームにキャラクターを置くにはお金がかかる。鏡を見たとき、お金のかからない生身のキャラクターは自分だと思った」と説明。関心の入り口をつくり、そこから選手やチームの活動に目を向けてもらう狙いです。

 さて、同クラブの特徴として挙げられるひとつが「デュアルキャリア」の採用。競技と仕事を両立することを意味し、選手は日中に企業で勤務し夕方からトレーニングに参加します。引退後のキャリア形成を見据え、「競技生活の先も見据えた環境づくりが重要」とし、社会人としての経験を積む機会を提供しているのだとか。

「選手たちには『サッカー選手である前に一人の人』であることを伝えています。社会性が十分でない子や小学校高学年から親元を離れてエリートコースに進んできた子に対しては、お母ちゃん代わりの存在でありたい。第三者では言えないことも言える関係性を築くため、彼女たちの母親のような存在になろうと思い、今に至ります」(岸田さん)

 この取り組みによって、地元企業で働いていた選手が引退後もそのまま地域に定着。地域の大切な「人財」となるサイクルが生まれているといいます。指導者についても安定した雇用形態を取っており、監督やコーチなどを正社員として雇用することで長期的な人材育成と組織づくりを進めています。

 経営者として確固たる信念を持つ一方で、「10年やっていても、じつはサッカーのことはあまり分からない。オフサイドラインも分からない」と岸田さんは笑います。あえてチームの戦術に口を出さないのは「選手の査定は自分がすべきではない。『人』としての部分を見ていきたい」という信念があるからなのだそう。

 ASハリマアルビオンの取り組みは「地域密着型クラブ」の一つのモデルケースとして、今後の動向が注目されます。

※ラジオ関西『ハートフルサポーター』2026年3月9日放送回より

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