住宅に被害をもたらすシロアリ対策に、近年変化が見られている。従来主流だった化学薬剤による駆除に加え、体への影響に配慮した薬剤を選ぶ動きが広がっているという。

兵庫県内でシロアリ駆除に携わる老舗業者・今村化学工業白蟻研究所(神戸市)の今村誠治さんは、「子どもやペットへの影響を気にして、薬剤の種類について相談を受けるケースが増えている」と話す。
背景の一つとして、アレルギーへの関心の高まりがあるとみられる。今村さんによると、「天然由来」と表示される薬剤の中にも化学成分が含まれている場合があるという。
公益社団法人日本しろあり対策協会も公式サイト上のQ&Aで、「天然物が安全で合成物が危険とは一概には言えない。どちらも毒性のデータを良く確認してから選んでほしい」と指摘する。
現在、青森ヒバやヒノキといった植物由来の成分を主とする薬剤も登場しているが、こうした製品は従来の薬剤に比べて費用が高くなる傾向があるものの、安全性への配慮を重視する動きを背景に、選ばれるケースも増えている。
近年はネット通販で薬剤も購入しやすくなっているが、今村さんは市販の薬剤について「使用方法を誤ると、効果が十分に得られない可能性や、健康への影響が懸念される場合もある」と注意を呼びかける。
一方で、対策の考え方にも変化がみられる。今村さんによると、従来のように駆除を前提とする方法だけでなく、薬剤で建物周辺にバリアを設け、シロアリを寄せ付けにくくする手法などもとられている。
「シロアリは本来、倒木などを分解し土に還す役割を持つ生き物。住宅に被害が出るのは、人の生活環境との接点が生まれるため」と今村さんは説明する。

住宅構造の変化も、被害の発生に影響しているとされる。気密性の高い住宅が増えたことで床下の通気が不十分になり、湿気がこもりやすい環境が生まれる場合がある。シロアリはわずかな隙間や湿気があれば侵入するため、「コンクリートで覆われていても安心とは言い切れない」という。戸建てに限らず、市街地のマンションなどでも被害例は報告されている。
さらに、気温の上昇に伴い活動時期が変化する可能性も指摘されている。「条件がそろえば例年より早く発生することもある」と今村さんは話す。
こうした中、今村さんは定期的な点検の重要性を挙げる。シロアリは数年で個体数が増えることもあるため、「一定期間ごとの点検や予防措置が被害の拡大を防ぐ一助になる」としている。
シロアリ対策は、単なる駆除にとどまらず、住環境や健康への配慮を含めた取り組みへと広がりつつある。安全性と効果のバランスをどう取るかが、今後の重要なポイントになりそうだ。






