映画『尾崎豊を探して』が、2020年1月3日から2週間限定で、シネ・リーブル神戸、TOHOシネマズ西宮OSなど全国で公開される。
1983年12月、シングル「15の夜」とアルバム「十七歳の地図」で高校在学中にデビュー。80年代、90年代の苦悩する若者のアイコン的存在として日本中を席捲するも、1992年に26歳の若さで夭折した伝説のミュージシャン、尾崎豊。
「卒業」、「I LOVE YOU」、「シェリー」、「15の夜」など、今もなお古びることのない名曲を世に残した尾崎豊は、何を伝えようとしていたのか。生前の彼の記録映像を拾い集め、糸をつむぐようにより合わせてその真実に迫る。
本作は、ライブ映像、プライベート記録映像などをくまなく集めてひとつの映画に仕上がっている。新宿ルイードの初ライブにさかのぼり、地方公演、大阪球場公演、国立代々木競技場公演、ニューヨーク滞在時の映像をはじめ、さらには何気ない日常風景まであらゆる「尾崎」をかき集めた400時間の映像素材をつなぎ合わせて作り上げた。
ライブ映像も、今の技術で極上のものにブラッシュアップされている。映画やライブの枠を超えた臨場感のある「ライブ・ビューイング・プレミアム」の作品だ。
監督・撮影・編集は佐藤輝。尾崎豊の映像作品にも携わっていたベテラン映像作家がこの大仕事に挑む。佐藤監督は、1948年生まれ。テレビマン・ユニオンの創立に参加し、その後、美空ひばり、内田裕也、美輪明宏、ハウンドドッグ、キャロル、矢沢永吉、 荒井由実、沢田研二、尾崎豊ら、ミュージシャンのビデオ作品を多く演出してきた。
公式情報をどんなに読み込んでも、具体的な内容は隠されたままだ。映画の全貌はベールに包まれている。しかし、「きっと何かがある」ことを予感させる。「なんだかよくわからないが、とにかく何故だか魅力的」なのだ。もしかすると尾崎豊をそっくりそのまま体現しているような存在がこの映画なのかもしれない。そうであるならば、この映画を自分の目で見ることは、尾崎と直接触れ合って対話をするようなものではないだろうか。
この映画が2週間の限定公開、というのもまた「尾崎豊」らしいと言える。26歳という若さでこの世を去った尾崎と、上映期間の短さが重なる。限られた短い時間でしか彼の姿を拝み、声を聴くことはできないのだ。
いまの日本で「尾崎豊」という名前を耳にしたことがない人は、きっといないだろう。もし彼のことをそこまでよく知らない、というのであればそれは絶好のチャンスだ。この映画を通して、日本を大きく動かしたあの時代の地響きを、追体験して聴くことができるに違いない。
当時の映像をより良く届けるドキュメンタリー要素に加えて、当時のMVも挿入されている。ナレーションは一切なし。なので、80年代・90年代の当時の空気をそっくりそのまま体験することができる。