対立抗争が続く指定暴力団「六代目山口組」と分裂した「神戸山口組」について、兵庫や大阪、愛知など6つの府県の公安委員会が7日、より厳しい取締りができる「特定抗争指定暴力団」に指定しました。
「2つの山口組」をめぐっては2019年11月、尼崎市で神戸山口組の幹部が自動小銃で射殺され、19年8月以降、3件の銃撃事件で4人が死傷するなど対立抗争が激化しています。
「特定抗争指定暴力団」は7日付けの官報に公示されて効力が生じ、兵庫や大阪など全国6つの府県の10の市が「警戒区域」に設定され、区域内では、合わせて約130の組事務所が事実上の閉鎖へ追い込まれる事態となるが、抗争が終結する見通しは立っていません。
警戒区域では、構成員がおおむね5人以上で集まることや組事務所に立ち入ること、また対立する組織の構成員につきまとうことなどが禁じられ、違反した場合は身柄を拘束されます。
「特定抗争指定暴力団」となった2つの山口組は今後どうなるのか、暴力団情勢に詳しい弁護士は、30年あまり前の「山一抗争」の時代とは異なり、暴力団対策の法律の網が張り巡らされているのを踏まえたうえで、こう指摘します。
「(特定抗争指定暴力団の指定は)警察当局が徹底した取り締まりを進める決意の表れで、今後、定例会など組員の集まりは警戒区域以外の県で開かれるのは確実。六代目山口組は、去年(2019年)11月の尼崎で起きた襲撃事件で(抗争を)やり切った印象だ。一方、神戸山口組は中核団体「山健組」の中田浩司組長が逮捕され、求心力の低下が懸念される。さらに特定抗争指定暴力団となり活動が制約され『返し(=報復)』ができない状況にある。抗争が激化したあとは法律の網によって自滅の道を歩む、弱体化する可能性もある」
指定期間は3か月間で、延長もできます。なお特定抗争指定暴力団は、6年前に福岡県に本部を置く道仁会と当時の九州誠道会が全国で初めて指定され、これで2例目となります。(ラジオ関西ニュース)