2019年シーズン、悔しい無冠に終わった女子サッカー・なでしこリーグ1部のINAC神戸レオネッサ。19年の年末から20年の年始にかけて、強豪復活に向けて、クラブは活発に動いている。
19年の年の瀬には、退団選手も発表された。11月末には韓国代表MFイ・ミナの退団が発表されていたが、19年シーズン後半で主戦センターバックとして活躍し、なでしこリーグの新人王に輝いたDF三浦紗津紀がアルビレックス新潟レディースへ完全移籍したのをはじめ、三浦と同じく大卒ルーキーとして1年目から活躍したFW河野朱里がなでしこリーグ2部のちふれASエルフェン埼玉に、ルーキーイヤーの2017年シーズンにはリーグ戦に14試合出場1得点を記録するなど若き成長株のMF福田ゆいがマイナビベガルタ仙台レディースに、それぞれ完全移籍した。
「この素晴らしいクラブでサッカーと日々向き合えたこと。勝たなければいけない重圧を背負って試合ができたこと。すべてがかけがえのない経験です」(三浦)、「私の価値を見いだし続けてくれて励まし、鼓舞してくれた監督をはじめとするスタッフ、チームメイトには本当に感謝しています。私のサッカー人生の中でこれほどに濃い1年はありませんでした」(河野)、「入団して3年、たくさんの経験をすることができて私にとってかけがえのない時間となりました」(福田)と、3選手はクラブ広報を通じてINAC神戸での思い出を語るとともに、サポーターへの感謝も述べ、新天地でのさらなる奮闘を誓っていた。
一方で、19年12月27日にはなでしこジャパン経験もあるMF阪口萌乃を新潟Lから、そして、この1月5日にはジェフユナイテッド市原・千葉レディースよりMF西川彩華といった、即戦力をそれぞれ獲得。19年12月11日に加入を発表したDF長江伊吹(藤枝順心高)、MF菊池まりあ(神村学園高)、FWファン・アヒョン(韓国/浦項女子電子高)を含めて、新戦力の補強にもぬかりはない。
「このクラブの一員として戦えることを大変光栄に思います。チームの勝利に貢献できるよう全力で頑張ります」と阪口が抱負を語れば、西川は「素晴らしい環境の下でサッカーができることに感謝をしながら、チームの勝利に貢献します」と述べるなど、新シーズンで主軸としても期待が高まる2選手は、クラブ広報を通じて決意表明していた。
なお、INAC神戸は、すでに鈴木俊監督の退任(2020年シーズンから埼玉のGMに就任)と、ゲルト・エンゲルス氏の新監督就任を発表している。
2019年の年末には、2020シーズンの新ユニフォームだけでなく、新エンブレムを発表。「2001年に誕生したINAC神戸レオネッサは2020年に20年目のシーズンを迎える。女子サッカー界を牽引するサッカークラブとして、サッカー夜明けの街『神戸』のシンボリックな存在として新たな時代へ挑戦するために、チームエンブレムを一新することにした」とINAC神戸の安本卓史社長は、その思いを語る。加えて、神戸ポートタワーのアンバサダー(PR大使)にも就任し、神戸の象徴として、さらなる活躍を期する、INAC神戸。心機一転の新シーズン、「神戸から世界へ」を合言葉に、常勝を取り戻すべく、「メスライオン」を意味するレオネッサの改革が始まる。