ラジオ関西『羽川英樹ハッスル!』で、羽川英樹さんとともにパーソナリティーを務める、大森くみこさん。司会やナレーションといったアナウンスだけでなく、今、無声映画の語り手として作品に命を吹き込む役割を担う、活動写真弁士としても活躍中です。今回は大森さんへのインタビューを行い、その前編では、「活弁」の醍醐味や『ハッスル!』内で人気のコーナー『二人で活弁』などについてうかがいました。
――「活弁」をはじめるきっかけは?
「もうだいぶ前のことになりますが、テレビで『活弁』のことをやっていて、そのとき初めて知りました。『あっ、こんな世界があるんだ』と、一目惚れしたんです。昔のアニメやコメディなどの作品をこれまで見たことがなかったところで、それを初めて見たとき、ちょっと映っていただけでしたが、すごく面白くて、早速興味を持ちました。さらに、そこにしゃべる人がいて、説明をしているというのが、すごく斬新で、今まで知らない世界を見たという感じです」
――無声映画で有名なのはチャップリン作品などになるかと思いますが、無声映画で最も気に入っているところは?
「CGがないので、その(映画を作る)人の能力がすごく問われるもの。チャップリンとかにしても、コメディセンスもそうですが、身体能力もすごく高い。元々、舞台からやってきているので、確かな芸が身についていて、それは他の方々にも言えること。マンパワーがすごいんです! 知恵とか、人の英知などを集結させて作っていて、そういったエネルギーをすごく感じます」
――無声映画の魅力をさらに広げるのが、活動写真弁士だと思いますが、『羽川英樹ハッスル!』内の人気コーナー、『二人で活弁』でも、大森さんがいろんな声を自在に操っているのが、すごく印象的です。それはどう身につけていったのでしょうか?
「よく聞かれることですが、自分でもどうやっていろんな声を出しているのか、よくわかっていなくて……(苦笑)」
――情景の説明だけでなく、様々な人へなりきるなど、言葉だけでも絵が浮かんでくるような語りが印象的です。
「ありがとうございます! どちらかというと、弁士は作品を広げるというのもありますが、特に現代の弁士は、時代と文化をつなげる役割がすごく大きいんです。時代背景とか文化とかが(今と)違うものをわからないと、その映画を楽しめないということがすごくあるので、今の時代の人に、いかにこのよさをいかしたまま、今の言葉とか解説をつけて伝えられるかというのが、現代の弁士の大きな役割かなと思います。あと、いろんな声を出せるというのは声優さんにもあると思いますが、どちらかというと弁士は物語っていく役割があり、ひとりで(映画の内容を)全部やって、それぞれの役を演じていく。その延長で声が変わるのかなという感じです」