アメリカ発祥のおしゃれなアウトドアブランドとして人気のパタゴニアが、昨年からビールを販売し、話題となっている。13日放送のラジオ関西『時間です!林編集長』(月曜~木曜15:00-17:50)には、ゲストとして、パタゴニアプロビジョンズのマネージャー、近藤勝宏さんがスタジオに生出演。ビールをはじめとする食料品への参入や意義について語った。
公式ホームページにあるミッション・ステートメントの最初に「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」と記している、パタゴニア。「1996年から、コットンをオーガニックコットン100パーセントに変えたり、リサイクル素材を目指したり」するなど、アウトドアブランドでも以前から環境への取り組みを行ってきた。そのなかで、「環境の危機等をどうにかして解決していきたいと考えたとき、実はその答えは、農業にあるんじゃないかということで、食品に入っていた」(近藤さん)パタゴニアが着目したのは「土の健康」、そして、「多年草の麦を使ったビール」だ。
原料にカーンザという多年草(多年生穀物)の麦を使うことで、「1回種を植えたら、4年間とか収穫できるだけでなく、(土の)上だけを収穫して、根は土のなかに入って、3~4mくらいまで(長く)張っていくので、(土壌に)保水力が出る。一番革新的なのは、根っこが長く伸びると、土のなかで微生物や有機体が増えて、光合成でキャプチャした炭素をより深くしっかり閉じ込めてくれることにつながる。そういった麦を使っているので、(多年草を使ったビールを)飲めば飲むほど、環境に貢献していくことになる」(近藤さん)。
ただし、「いくら環境にいいといっても、おいしくないと飲めないもの。おいしいからこそ買うものなので」と近藤さんもいうように、クラフトビールの本場・アメリカのポートランドにある新進気鋭のクラフトビールメーカーのホップワークス・アーバン・ブルワリーとタッグを組んで醸造したパタゴニアのビールは、飲みやすさや味も追及されている。
また、パタゴニアでは、ビールだけでなく、「オーガニックの豆のスープや、ムール貝とか、天然のサーモンをオーガニックのオリーブオイルにつけてパウチされたもの」など、環境に配慮した食料品も続々と展開。「オーナーが『人間も環境の一部だ』と述べていて、まさにそのとおりなのですが、地球環境にいい影響を与えるということは、もちろん、食する人間にもとてもいい影響を与える」という考えのもと、「土壌を健全にしたりとか、野生動物を回復させたりするなど、すべてのコンセプトは同じようにつながっていて、地球をより健全な状況に戻していくということ。そういったものにつながっていくようなものを原材料として加工品を作っています」(近藤さん)。アウトドアブランドが追求する新たな「食」への取り組みには、これからも注目が集まりそうだ。なお、ビールをはじめとするパタゴニアの食料品(パタゴニアプロビジョンズ)は、パタゴニア神戸などのパタゴニアの直営店や、公式オンラインストアで販売されている。