聴覚に障害を持つ選手たちが挑む「デフフットサル」 今年開催のワールドカップでの世界一を目指して、7月に大阪で合宿を実施 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

聴覚に障害を持つ選手たちが挑む「デフフットサル」 今年開催のワールドカップでの世界一を目指して、7月に大阪で合宿を実施

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 聴覚に障害を持つ選手たちによるフットサル、「デフフットサル」。デフ(deaf)とは英語で「耳が聞こえない」という意味を持つ。今年は4年に1度の、デフフットサルワールドカップが開催される年にあたり、『デフフットサルワールドカップ2019』が、11月9日から11月16日まで、スイスのヴィンタートゥールで開催される。6月24日のラジオ関西『時間です!林編集長』(毎週月曜~木曜15:00-17:50)には、デフフットサル日本代表の川元剛監督と、同代表の応援隊長であり、デフフットサルの普及活動に取り組むDJハッシーさんが、4年ぶりにゲスト出演。デフフットサルを熱くPRした。

デフフットサル日本代表の川元剛監督(写真右)と、同代表の応援隊長であり、デフフットサルの普及活動に取り組むDJハッシーさん(写真左)が、4年ぶりにゲスト出演。デフフットサルを熱くPRした。(写真:ラジオ関西)
デフフットサル日本代表の川元剛監督(写真右)と、同代表の応援隊長であり、デフフットサルの普及活動に取り組むDJハッシーさん(写真左)が、4年ぶりにゲスト出演。デフフットサルを熱くPRした。(写真:ラジオ関西)

 番組では改めて「デフフットサル」について川元監督より説明。「耳の障害のレベルにはそれぞれ差があることもあり、競技中は補聴器を全員外す。基本的にはまったくの無音で選手たちはプレーすることになる。私たちが聞こえる大きな音でも、彼らにとっては振動のみ。視覚からの情報しかないので、審判のフラッグで(ジャッジを)見る。試合中は一切指示などが聞こえないので、予測の立たない中で、起きた現象に対して反応することになる。そのため、試合では反射神経が問われてくる」。それでも、日本代表など、鍛え上げられたチームは、やっていくうちに、監督が話したいタイミングで、その選手がベンチを見てくれるようになるという。「まさに以心伝心。特に準決勝や決勝などハイレベルになると、そういう感動がある」。

 そのデフフットサルを応援隊長として盛り立てるDJハッシーさん。「デフの方がわかる拍手の手話などありますが、試合のときは全身全霊で声を出して、床を踏み鳴らす。(一緒に応援する)女子代表の選手たちなどは、声にならない声をかき鳴らして応援している」という。それが、川元監督曰く、「まさに魂の叫び。(デフの方に)声では伝えることはできないが、(そういった応援は)伝わる。そこが本当に一番感動するところ」

手のひらをくるくる回す(画像にある)手話が、拍手の意味(写真:ラジオ関西)
手のひらをくるくる回す(画像にある)手話が、拍手の意味(写真:ラジオ関西)

 前回は4年前にタイで開催されたワールドカップの前に出演した川元監督とDJハッシーさん。そのときのデフフットサル日本代表(男子)は7位という成績だった。当時の大会でも、イランが優勝、タイが準優勝を飾るなど、アジアの2強が世界を制す実力を持つが、今年の2月に開催されたワールドカップ予選、「アジア太平洋ろう者フットサル選手権」では、タイに、完全アウェイの環境のなかで3-2と勝利。日本が強豪の一角を見事に切り崩しただけに、ワールドカップ本大会でのさらなる奮闘にも期待がかかる。

 そして、今回、男女代表チーム(選手、スタッフ)がワールドカップに参加するために最低限必要な2000万円を設定金額として、クラウドファンディングにも挑戦中(https://camp-fire.jp/projects/view/152388)。「設定金額はばかげた数字かもしれないが、これが渡航費など、かかる費用の現実。(普段は自腹で参加するなどの)現状を知ってもらいたいし、障がい者スポーツには日本ではそういった何らかの壁がある。それを取っ払うためにも、我々が先陣を切って(世間に)訴えかけたい。いま、選手たちが勇気を振りしぼってやってくれている」(川元監督)

 ワールドカップへの準備を進めるなか、デフフットサル男子日本代表候補合宿が、大阪市住之江区のMAG`S FUTSAL(マグフットサル)で7月13日から15日まで開催される。関西で世界レベルを体感できる貴重な機会になるだろう。15日のトレーニングマッチではDJハッシーさんが選手紹介など、わかりやすい実況でデフフットサルを熱く紹介する。

「最初は『ろう者』という言葉を口にしていいのかと、勝手に自分で壁を作っていた。でも、全然関係ないし、そんなんじゃない。手話がたとえ使えなくても、そのときいた選手がボールを蹴ってくれて、本当のパス交換ができて、それで僕は一気に壁がなくなった。逆に彼らとコミュニケーションをとりたいと思って少しずつ学んだ。人生が豊富になったのは、デフフットサルとの出会いから」というのは、約8年前からデフフットサルをサポートしているDJハッシーさん。「障がい者スポーツの枠を超えたところにチャレンジしている。シンプルにスポーツとして感じるものがあると思う」と、魅力を語る。「実際に聞こえないことを感じさせないような、スポーツとして感じてもらえるところを見てもらいたい。彼ら選手は命をかけてやっている。アジア予選を経て、選手たちの意識もさらに上がってきている。男女ともに世界一を狙いたい。本当に伝わるもの、響くものが、このチームにはある」と川元監督。世界の頂点を目指すデフフットサル日本代表から、今後も目が離せない。

デフフットサル応援隊長のDJハッシーさん(写真左)が着用しているシャツはデフフットサル日本代表をサポートするもの。デフフットサル日本代表はクラウドファンディングも7月31日まで実施している(写真:ラジオ関西)
デフフットサル応援隊長のDJハッシーさん(写真左)が着用しているシャツはデフフットサル日本代表をサポートするもの。デフフットサル日本代表はクラウドファンディングも7月31日まで実施している(写真:ラジオ関西)

【公式サイト】一般社団法人日本ろう者サッカー協会
http://jdfa.jp/

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