翔べない時代の魔女の宅急便 松本穂香主演映画『わたしは光をにぎっている』

 昨年、TBSドラマ『この世界の片隅に』に主演し、いま映画やCM出演などノリにノッている大阪出身の女優・松本穂香。11月に公開を控える主演映画作品『わたしは光をにぎっている』は、世界が認める若き才能・中川龍太郎監督とタッグを組む現代の『魔女の宅急便』だ。

 亡き両親に代わって育ててくれた祖母の入院を機に、東京へ出てくることになった主人公・澪(松本穂香)。都会の空気になじめないでいたが、居候先の銭湯を手伝い、昔ながらの商店街の人たちとの交流のなかに喜びを見出しはじめる。そんなある日、その場所が区画整理でもうすぐなくなることを聞かされる。事実に戸惑いながらも澪は、「しゃんと終わらせる」決意をする。

居候先の銭湯で澪は自分の居場所を見つけていく(©2019 WIT STUDIO / Tokyo New Cinema)
居候先の銭湯で澪は自分の居場所を見つけていく(©2019 WIT STUDIO / Tokyo New Cinema)

 松本は「キャラが濃い役が多かった今までの作品と違い、本当にセリフが少なく、風景の一部になろうと思った」という。そして「私自身が澪の考え方や在り方に共感できる部分があったから作りこまなかった。大きな事件が起こる映画ではないが、押しつけがましくなく、やさしくそこにいてくれる、そんな映画だ」と語る。

澪は少女ではなく子ども。しかし監督は「一足飛びに大人になる姿を撮りたかった」という(©2019 WIT STUDIO / Tokyo New Cinema)
澪は少女ではなく子ども。しかし監督は「一足飛びに大人になる姿を撮りたかった」という(©2019 WIT STUDIO / Tokyo New Cinema)

 中川監督が「翔べない時代の魔女の宅急便」という本作。「下町にあった実際の自分のふるさとが、あるとき町ごとなくなった。何かを批判するわけではない。ただ、誰かと誰かをつなぐ古い場所が消えゆくことには怒りを覚える」。

 都会のなかで居場所を見つけて生きる若者の姿をていねいに描き、何気ない風景や市井の人々を慈しむような映像。観る人それぞれが故郷を見出し、胸が熱くなる作品が誕生した。
 
 中川龍太郎は大学在学中に監督を務めた『愛の小さな歴史』(2013)で東京国際映画祭スプラッシュ部門にノミネート。『走れ、絶望に追いつかれない速さで』(2014)も同部門にて上映され、2年連続入選を最年少で果たす。『四月の永い夢』(2017)は世界4大映画祭のひとつ、モスクワ国際映画祭コンペティション部門に選出され、国際映画批評家連盟賞とロシア映画批評家連盟特別表彰をダブル受賞。松本穂香を主演に迎えた本作『わたしは光をにぎっている』はモスクワ国際映画祭に特別招待されワールドプレミア上映を果たした。
 
 ビー玉のように透き通る松本の周りで脇をかためる、大女優・樫山文枝、あらゆる役をこなす怪優・光石研、ミュージシャンとして役者として活躍の場を広げる渡辺大知など俳優陣からも目が離せない。

 映画『わたしは光をにぎっている』は11月15日から全国の映画館で順次公開される。

役を離れると大人っぽい雰囲気も持つ松本穂香(右)と中川龍太郎監督(左)(写真:ラジオ関西)
役を離れると大人っぽい雰囲気も持つ松本穂香(右)と中川龍太郎監督(左)(写真:ラジオ関西)

映画『わたしは光をにぎっている』
11月22日(金)より、シネ・リーブル梅田にて公開
11月23日(土)~京都シネマ、11月29日(金)~シネ・リーブル神戸
©2019 WIT STUDIO / Tokyo New Cinema
主演・松本穂香、監督・中川龍太郎のインタビューはラジオ関西(AM558、FM91.1)『シネマクエストラジオ』内で、11月14日(木)21:00~放送予定

関連記事