5.チーズ:「コパン・ドゥ・フロマージュ」
【酒粕ウォッシュチーズ酒樽熟成】
【酒粕ウォッシュカカオバター仕上げ】
【黒トリュフ入り熟成チーズの酒粕仕上げ】
「コパン・ドゥ・フロマージュ」の 宮本喜臣さんは、チーズ変態の異名を持つほど変わったチーズ造りを行っている。今回のプロジェクト参加を決めた後、「福寿」の杉樽を持ち帰り、その中でチーズを熟成させるという風変わりなプランを打ち出した。杉の香りをつけたどんな風味なのか期待だ。「酒粕ウォッシュチーズ酒樽熟成(100g 1,300円)」、「酒粕ウォッシュカカオバター仕上げ(100g 1,500円)」、「黒トリュフ入り熟成チーズの酒粕仕上げ(100g 2,300円)」が考案され、販売される。
■コパン・ドゥ・フロマージュ
住所 和歌山県紀の川市桃山町調月769-136
電話 0736-60-7175
営業時間 火・水・金・土曜 16:00~21:00
休日 日・月・木曜
6.味噌蔵:「六甲味噌製造所」
【酒粕みそ】
阪神間の嗜好に合った味噌を製造する「六甲味噌製造所」からは「酒粕みそ(140g 490円)」がエントリー。同社の長谷川憲司社長と「さかばやし」の加賀爪正也料理長が意見を交換しながら造った酒粕みそは、甘めで田楽などにも合うはずだ。創業百年の味噌蔵が自信を持って送り出すこだわりぬいた商品になっている。
野菜をディップして食べると、甘めの味噌がよく合う。鼻から抜ける日本酒の香りを強く感じすぎることもなく、何度も改良に改良を重ねた跡が見える、黄金のバランスだ。
■六甲味噌製造所
住所 芦屋市楠町11-16
電話 0797-32-6111
営業時間 9:00〜12:00、13:00〜17:00(土曜は~16:00)
休日 日曜・祝日
7.バー:「サヴォイオマージュ」
【カスビアンカ】
森崎和哉さんは、全国でその名が知れ渡っているカクテル名人。昨年のバーテンダー全国大会で創作1位を獲得。2017年には国際大会で世界一に輝いている。そんな実績をもったバーテンダーの参戦は興味津々だ。森崎さんが今回提供するのはフローズンカクテル「カスビアンカ(1,200円)」。酒粕にグラッパ、ベルガモットリキュール、レモングラスコーディアル、柚子果汁、ジンジャーエールを合わせて作るさっぱりした味のもので、食中の口直しにも対応可能なくらい柔らかな口当たりが特徴となっている。柑橘系の中にうまく酒粕が合わさった飲みやすいカクテルが完成した。
上品な白色の「カスビアンカ」の由来は、酒粕の「カス」とイタリア語の「白」から由来する「ビアンカ」。森崎さんは「カサブランカっぽくていいかな」と笑う。固形物の酒粕を希釈する時に使うのは、店で使うジンジャーエール。炭酸が抜けてしまうため泣く泣く廃棄したり、スタッフで飲むことも多いこのジンジャーエールで薄めることで、「サスティナビリティ」を強く意識したという。レモングラスで夏、ゆずとショウガで秋、ベルガモットリキュールで冬と、四季も表現されている。風味は強めだがクセはなく、度数は12パーセント、ジントニックくらいだ。お店で森崎さんの開設を聴きながら楽しむのもおすすめ。
■サヴォイオマージュ
住所 神戸市中央区下山手通5-8-14
電話 078-341-1208
営業時間 16:00~23:00
休日 日曜
8.酒蔵:「神戸酒心館蔵の料亭・さかばやし」
【エコ粕汁】
神戸酒心館では、エコをテーマに酒粕プロジェクトを展開。その代表格として2月に献立化するのが「エコ粕汁」。日本酒づくりの副産物として出る酒粕と、他の料理で用いられなかった部分の食材を合わせた一品はまさに現代が求めるもの。加えて同店では毎月20日を粕汁の日と定め、一年中ユニークな粕汁を提供する予定だ。
また、番外編として、大阪樟蔭女子大学の三回生が授業「フードメディア研究」の中で創作した「酔いどれ蒸し寿司(1,300円)」は、平日限定(要予約)で「さかばやし」にてメニュー化することになっており、若い人たちが考えた酒粕料理として期間中(2月1日~29日)に提供することが決まっている。特徴は、酒粕をちぎって入れて米を炊くことで酢飯をつくること。ミツカンの「三ッ判山吹」という赤い酢を使っているため、少し赤みがかった米のうえに、鯛、エビ、シイタケ、錦糸卵、大葉、それぞれが主張しすぎず上手くお椀の中で共存している。純酒粕酢がいい味を出し、どこにもない酒粕風味の蒸し寿司となった。かなりボリュームもあり、非常に満足度が高い。
■蔵の料亭さかばやし
住所 神戸市東灘区御影塚町1-8-17神戸酒心館蔵内
電話 078-841-2612
営業時間 11:00~22:00
休日 なし
(大阪樟蔭女子大学学芸学部ライフプランニング学科)
酒粕文化を後世に残したい、という想いから始まったプロジェクトも6年の月日のなかで残すどころか新たな味を提案するにまで至った。いまやブームになっている酒粕の、新たな一面を楽しむチャンスだ。ユニークな酒粕料理に舌鼓を打ちたい。