2つの山口組・抗争 元捜査幹部が語る「自動小銃、そう簡単には撃てない」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

2つの山口組・抗争 元捜査幹部が語る「自動小銃、そう簡単には撃てない」

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 2019年11月27日、尼崎市で起きた特定抗争指定暴力団・神戸山口組系幹部射殺事件で逮捕された六代目山口組系元組員 (52) は「尼崎から京都へ移動して別の神戸山口組関係者を殺ろうとしていた」と供述。射殺事件の数日前に下見をして自動小銃などを準備していたことも捜査関係者への取材でわかった。

 使用された自動小銃はアメリカ製で殺傷能力が高く戦場で使用される軍事用の「M16」と同じ型とみられ、現場に薬きょうと不発弾が合わせて28発分落ちていたという。撃たれた神戸山口組幹部は即死。

 兵庫県警と京都府警の合同捜査本部は今後自動小銃の入手ルートや六代目山口組の組織的な関与の度合いを調べる。

 熊本、札幌、そして尼崎……相次いで幹部が狙われた神戸山口組。特定抗争指定暴力団への指定と、自らヒットマンとして対立する弘道会(六代目山口組の中核団体)関連施設を襲撃した組長の逮捕……「返し=報復」するだけの組織力はあるのか?

山健組本部
特定抗争指定暴力団・神戸山口組中核団体「山健組」前では24時間体制で警察官が警戒(写真・ラジオ関西)

■自動小銃……なぜ?

 1987(昭和62年)2月、山口組と一和会のいわゆる「山一抗争」が終結。しかしその約2年前、1985年1月に山口組四代目組長・竹中正久を射殺された竹中組は、一和会会長で山口組三代目組長代行だった山本広への攻撃を続ける。

 自動小銃が使われたのは山一抗争の終結後とされる1987年(昭和62年)5月、いまの六代目山口組幹部・安東美樹が当時神戸市東灘区にあった山本広の自宅を襲撃、その際に警戒中の警察官3人が銃撃された事件。

 安東は「M16」や、その先端に差し込むてき弾などを準備。安東は海外渡航までして拳銃や機関銃の射撃訓練を受けた。

 当時、事件に携わった兵庫県警の元捜査幹部がラジオ関西の取材に応じた。

「警察官3人を撃ったのは、自動小銃は機関短銃というスワット隊が突撃用に使用する22口径の小銃。セドリックバンのパトカーには警察官3人が乗車していたが、薬きょうが大きく後部のバンパーから入った弾は助手席にいた警察官の背中に当たった。物凄い威力のある小銃。とても素人では撃てない」


元捜査幹部は続ける…
「あの事件は安東美樹中心の襲撃部隊の犯行。私も押収した機関短銃を空打ちしたが凄い衝撃だった。かなりしっかり訓練しないと撃てない。安東はてき弾頭で使い方を間違って山本広の自宅に張ってあったネットに弾が当たって跳ね返り、何と撃った安東らがいる路上で爆発。犯行グループの1人が重傷を追ったまま逃走して、病院の洗い出し捜査で捕まえた」

 あれから30年あまり。今回の尼崎での銃撃事件で逮捕された元組員は六代目山口組のうち姫路を拠点とする有力団体に所属し2018年に破門された情報もある。

 この有力団体のトップこそが安東であることも1つの因果なのか……。

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