ヴィッセル神戸、継続性とイニエスタらの経験値がもたらしたACL第1戦の大勝 今後への課題は「したたかさ」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

ヴィッセル神戸、継続性とイニエスタらの経験値がもたらしたACL第1戦の大勝 今後への課題は「したたかさ」

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 サッカーのアジアナンバー1クラブを決める大会、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)2020のグループリーグが12日からスタートした、ヴィッセル神戸。その初戦では、マレーシアのジョホール・ダルル・タクジムに5-1とホームで大勝。目標とするアジアナンバー1に向けて大きな一歩を踏み出し、19日との水原三星(韓国)とアウェイ戦や、23日にやってくるJ1開幕戦(横浜FC戦)へ弾みをつけた。

ACL初戦でヴィッセル神戸が大勝。イニエスタ(左上)、小川(右上)、酒井(右下)ら経験豊富な選手がチームを牽引し、安井(左下)ら若手も活躍した(4選手ともPhoto by T.MAEDA)
ACL初戦でヴィッセル神戸が大勝。イニエスタ(左上)、小川(右上)、酒井(右下)ら経験豊富な選手がチームを牽引し、安井(左下)ら若手も活躍した(4選手ともPhoto by T.MAEDA)

 1月1日に天皇杯決勝を戦い、悲願の初タイトルを獲得。そこから約3週間後の22日には新シーズンを始動。沖縄キャンプを経て、2月8日には昨シーズンJ1王者の横浜F・マリノスとの富士ゼロックススーパーカップでPK戦の末に勝利。そして、中3日で臨んだACL第1戦で、クリムゾンレッドは地元・神戸での2020年初公式戦を迎えた。2月中頃にして早くもホームゲームを見ることができ、「ヴィッセルの試合を楽しみにしていた」という神戸サポーターの声も場内で数多く聞かれた。

 大会規定により、ホームスタジアムの名称は、ネーミングライツの入ったノエビアスタジアム神戸ではなく、神戸市御崎公園球技場。スタジアムにあった広告物は至るところがマスキングされ、場内アナウンスは英語主体となり、会場はACLモードに。さらに、通常、メインスタンドから見て右側のベンチがホームの神戸となるが、このACLの試合ではベンチは左に。ただし、ゴール裏の神戸サポーター席はいつもどおり、右。普段のホームゲームとは、少し勝手が違うなかで、いざ、試合へと進む。

 神戸はこの試合でMF山口蛍が発熱のために欠場。昨シーズンJ1全試合フル出場を果たすなど、絶対不可欠な背番号5がいきなり不在になるアクシデントに見舞われた。また、ACLの外国籍選手登録枠(3人+アジア枠1人)により、富士ゼロックススーパーカップに出場したDFダンクレーとMFセルジ・サンペールがメンバー外に。そのため、先発には、ボランチにMF安井拓也とMF郷家友太の若手コンビ、攻撃陣の一角には小川慶治朗が起用された。また、ディフェンスラインは4バックを採用し、MFアンドレス・イニエスタがトップ下に入るシステムで、この一戦に挑んだ。

 相手のジョホールは、マレーシア・スーパーリーグを6連覇中。ACLには2017年にプレーオフでガンバ大阪と対戦(0-3)経験があり、2019年からは本選グループリーグに2年連続出場となる。イニエスタのようなビッグネームはいないとはいえ、昨シーズンのACLでは鹿島アントラーズに勝利した実績も持つだけに、その実力は侮れないもの。実際に試合が始まると、フィジカルとキープ力に長けたブラジル人FWジオゴがゴール前で決定機を得るなど、序盤からアグレッシブな戦いを披露。逆に神戸としてはヒヤリとさせられる場面も作られていた。

 それでも、神戸は左サイドのFW古橋亨梧や、自在にボールに絡むイニエスタを軸に攻勢をかけると、13分、先制点を獲得。ハーフウェーライン付近からのイニエスタのループパスに走りこんだのは、FW小川慶治朗。相手GKを見ながら、利き足ではない左足でそのままループシュートを放つと、ボールはゴールに吸い込まれた。神戸のエースナンバー「13」を背負う男がクラブACL第1号ゴールを記録したことで、場内も一気に盛り上がる。

 そこから攻勢にいくかと思われた神戸だが、一瞬の隙から自陣に攻め込まれた際、ジョホールの攻撃をブロックしようとしたDFトーマス・フェルマーレンの手にボールが当たってしまい、ハンドの反則をとられ、PKを献上。ジョホールFWサファウィ・ラシドの強烈な左足のシュートに神戸GK飯倉大樹もしっかり反応したものの、わずかに届かず、失点。試合は振り出しに戻った。

 ただし、1-1の時間は1分もなかった。28分、右DF西大伍からの丁寧な右グラウンダークロスに、相手DFが足を滑らせて対応が遅れたところを見逃さなかったのが、古橋。ダイレクトで右足をあわせると、きれいな弧を描いてゴールが決まり、再びリードを奪った。2-1で進むなか、序盤から神戸のスピードにファウルで対応するケースが目立ったジョホールに対し、前半終了間際には一時ヒートアップした古橋とサファウィ・ラシドの双方にイエローカードが提示されるなど、少し荒れる気配も漂わせた。ただ、ハーフタイムで神戸イレブンは冷静に試合を振り返り、修正に着手する。

 この一戦で出た課題は、「動きすぎた」こと。若きボランチコンビも「前に出て行きたい欲が出て、行き過ぎてしまったので、後半ちょっと修正した」(安井)、「前半ちょっと動きすぎてバテてしまっていた。(動きすぎると)中盤も大きな穴があいてしまうので、自分たちが(動きすぎないよう)セーブしながらやっていた」(郷家)と、同じような課題を口にしたとおり、前がかりになったところで、相手のカウンターを許すシーンが散見した神戸。そこを時間を進めていくなかで修正して、チームとしてうまくゲームをコントロールできたことが、後半のゴール量産へとつながっていく。

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