近畿や四国の海で2019年に事故にあったプレジャーボートや漁船などの数が、集計方法が変更され単純に比較できないものの、速報の値で284隻と2015年からの5年間で最多だったことが、海上保安庁のまとめでわかった。一方、自殺や急病などをのぞいた人身事故による死者や行方不明者は39人で、最近5年間では半数以下になっている。
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瀬戸内には播磨灘と大阪湾を隔て、潮の流れが速い航行の難所・明石海峡があり 、近く始まる見込みの「いかなご漁」の季節は漁船や貨物船、作業船の航行で混雑が予想されるため、第5管区海上保安本部や神戸海上保安部が警戒を強める。
2019年の主な事例として、1月に加古川の河口近くでヨットが乗り上げた事故では、ヨットは満潮になり、いったん自力で陸地から離れたが 、再び近くの護岸に乗り上げて浸水。乗っていた70歳代の男性が明石沖で遺体で見つかった。
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9月には神戸市須磨区の沖でマリーナに帰港していたプレジャーボート が漁船と衝突、プレジャーボートが大破した事故が代表的なものとして挙げられる。
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プレジャーボートの事故は186隻と全体の約7割を占めている。原因として故障などによる運航不能がこのうち半数、衝突が75隻で3割。漁船の事故が10隻増えている。
このほかの傾向として、プレジャーボートに乗る際にライフジャケットを着けていないケースが多く、サーフィン中の事故が2018年より14人増えた。
こうしたことから、第5管区海上保安本部では、
▼エンジンや燃料などの残量点検
▼ライフジャケットの着用
▼航行、操船中の見張りの徹底
以上を重点項目に挙げて警戒する。
特に「いかなご漁」の時期は、午前6時から10時までの操業時間帯を避けて通航するよう呼びかける。