森友問題、本質はどこに?逃げ切れない「国有地大幅値下げ」と「公文書改ざん」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

森友問題、本質はどこに?逃げ切れない「国有地大幅値下げ」と「公文書改ざん」

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 学校法人「森友学園」を舞台にした補助金詐欺事件。大阪地方裁判所は2月19日、詐欺などの罪に問われた学園前理事長の籠池泰典被告(67)に懲役5年の実刑、妻・諄子被告(63)については一部を無罪として懲役3年・執行猶予5年の有罪判決を言い渡した。2人は無罪を主張していたが、検察側はいずれも懲役7年を求刑していた。いったん刑事施設に収容された泰典被告は21日夜に保釈された(保釈金1,200万円)。控訴を視野に入れる。

籠池泰典・諄子両被告(2020年2月19日・大阪地裁)
判決を前に 籠池泰典・諄子両被告 (2020年2月19日・大阪地裁)

問題発覚3年ーー

 大阪・豊中市の国有地の8億円を超える大幅な値引き、財務省の決裁文書改ざん……。これらの追及が一連の問題の核心ではなかったか。

 泰典被告は、それまで猛烈に支援していた安倍首相や政権を批判し、公判では「国策捜査だ」と検察と全面対決した。2019年3月、初公判での罪状認否は10分を超える異例の長さ。国有地の売却は「官邸からの意向と忖度があったためで、国民の目をそらせて口封じするための、いわゆる『別件逮捕』だった。安倍首相は自分の保身に舵を切ったに過ぎない」と批判した。あまりの長さに公判検事が制止。しかし裁判長は「いいでしょう、続けて下さい」。泰典被告に陳述の続行をうながした。

大阪地検
大阪地検特捜部は2018年5月、財務省にメスを入れることなく一連の問題の発覚から約1年半にわたる捜査を終結。

過剰な忖度「国有地のたたき売りと不可解な小学校認可が森友問題の本質」

 豊中市に開校予定の小学校「瑞穂の國記念小學院」の名誉校長に安倍首相の妻、昭恵夫人が就いていた。この問題の端緒は、財務省が鑑定価格9億5,600万円の国有地を約8億円も値引きして学園に売却した不透明な国有地取引である。

 財務省は地中にあるごみの撤去費用などを挙げたが本当に大量のごみがあったかどうか、いまだにわかっていない。

 官僚が忖度したのではないかと追及する野党に、当時財務省理財局長だった佐川宣寿氏は国会で「記録は廃棄した」と述べた。しかし大量に改ざんされた文書が後になって表出する。

 こうした国有地売却や公文書改ざんの問題で刑事告発された佐川宣寿元国税庁長官や財務省職員ら38人について、大阪地検特捜部が全員不起訴に。特捜部は財務省にメスを入れることなく、落としどころは「補助金詐欺」のみとなってしまった。

 当時の女性特捜部長は地方の検事正に昇任、そして大阪地検ナンバー2の次席検事に栄転。ある中堅クラスの検事は「やっぱりな、という印象。検察組織としては『よくやった感』が十分。ウチも組織だから」とつぶやいた。

 この裁判をめぐり野党からは国有地値引きの経緯について「普通なら認められないものが、忖度も含めて、みんなでよってたかってあの学校ができるように動いた」との声が聞かれた。

 そして「大阪府や大阪市、そして国が、いったいどのような動きをしたのか。行政側の動きについてもぜひ明らかにしてもらいたい」と注文していた。

この問題を掘り起こした豊中市議・木村真氏は

 木村市議は国有地の売却価格が非公表になっている問題を掘り起こし、財務省近畿財務局の職員を背任容疑で大阪地検に告発。いわば一連の問題を「めくった」。国有地払い下げ価格の情報開示を近畿財務局に求めたが黒塗りで出てきたため2017年2月、大阪地裁に訴訟を起こした。

問題発覚後、木村市議がラジオ関西のインタビューに答えた。(2017年4月・尼崎市内での講演を終えて)

「安倍昭恵さん本人が関わった(「瑞穂の國記念小學院」名誉校長に就任)ことはおおよそ固まりつつある段階だし安倍総理の政治責任は問われるべき。やはり『隠すべき何か』があったから隠しているのだと思う。初めはもっと素朴な、便宜を計った程度のものかと思っていたが、それにとどまらず森友学園の教育内容に共感する賛同する政権の中枢が異常な肩入れをしたという理解をしている」

 安倍政権のもと、森友問題を皮切りに加計学園や桜を見る会などの問題が取り沙汰されている。とりわけ桜問題は公文書管理のあり方が改めて問われた。「またか?」という国民の声も噴き出した。

国家の私物化『国策不捜査』……

 泰典被告は「自分たちだけを逮捕し、財務省側は立件しなかった『国策不捜査』で疑惑の真相解明を妨げた」と検察の姿勢を批判、「国策捜査そして国策逮捕、国策勾留は絶対許せない。本質的な国有地売却など忖度の問題から目をそらし、目くらましをしている」と裁判で一貫して主張し、2月19日の判決を前にこれにまつわる本まで出版した。

大阪地裁
大阪地裁で泰典被告は起訴内容の大半を否認。「自分たちだけ逮捕し、財務省側は立件しなかった」籠池節で検察批判を展開

「凜と咲く 日の本一の 夫婦花(めおとばな)」

 無罪を訴え、法廷で詠んだ泰典被告の句である。しかし、大阪地裁は泰典被告について「巧妙な手口による大胆な犯行。国の補助金詐欺では中心的な立場で、大阪府と大阪市からも長期間、多額の金を詐取した」と指摘。一方、府と市の補助金申請については、諄子被告の関与はなかったとした。

「森友問題」~刑事司法の場で夫妻の補助金詐取行為は認定された。泰典被告は控訴の意向。夫妻はこの現実にどう向き合うのか。

 3年前、国政は間違いなく混乱した。国民の不信感が募るなか加計問題、桜を見る会、新型コロナウイルス対応、国会での『ヤジ』、高検検事長・定年延長……支持率急降下のなか政権はこの判決ですべて幕引きをはかるのか。

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