その国のことを知りたいのなら、実際に足を運ぶのが一番だ。しかし、どのような視点で、何を楽しめばよいのだろうか。こうした疑問を旅行の専門家が解消してくれる。「今よりもっと、旅が好きになる」をコンセプトに旅のツアーを提案する旅行会社「旅工房」に取材した。東南アジアの最新情報といま注目の旅行ツアーを紹介しよう。特に人気のベトナム・ミャンマーの見るべきポイントを徹底的に知ることができる。トラベル・コンシェルジュの研ぎ澄まされたアンテナがつかんだ地元の「いま」を聞く。
ベトナムの魅力
アジアとフランスの文化が融合しているのがベトナムの面白いところ。タンロン遺跡など、観光にも人気の遺跡はアジアの文化に由来するが、実はフランスの文化も残っているということを意識しながら街を歩いてみると良いだろう。オペラハウスなどフランス統治時代の建物がたくさんあることに気付くはず。何気なく立ち並ぶお洒落なカフェや、おいしいケーキやコーヒーもフランス文化の名残だ。コロニアル式のホテルに泊まるのも良いだろう。
日本人旅行者にはハノイ、ダナン、ホーチミンの3都市が人気だが、穴場はまだ知名度の低いニャチャンエリア。ビーチリゾートのラグジュアリーさと、地方特有のゆったりとした雰囲気を同時に満喫できる。
ベトナムは国土が南北に長いため、エリアごとに郷土料理が違う。どの地域の料理も美味しいが、いまオススメなのはハノイの郷土料理「ブンチャー」だ。甘酸っぱいつけダレに、米の麺に焼き肉やハンバーグ、野菜を乗せて食べる。オバマ前大統領がハノイを訪れた際に食べたことでも有名で、そのオバマ氏が訪れたお店は地元で「ブンチャーオバマ」と呼ばれて今でも親しまれている。
ベトナム語を覚えるのは難しいが、「シンチャオ=こんにちは」、「カム・オン=ありがとう」「ゴン=おいしいです」あたりの簡単な表現は覚えておいてもよいだろう。残念ながらスリやひったくりのような軽犯罪は少なくないが、凶悪犯罪は日本や周辺アジア諸国と比べても少ない。治安は良く、女性が夜ひとりで気軽に出歩いても大丈夫なほどだ。
ミャンマーの魅力
ミャンマーの魅力は、他国の文化に染まりすぎず、自分たちの文化を色濃く残そうとしているところ。今でもロンジーという巻きスカートのような民族衣装を着て生活している人が多い。このロンジーは涼しくて快適な衣装。既製品から、布を選んで仕立ててもらえるお店まであるので、お気に入りを1着見つけてそれを着こなして観光するのも楽しいだろう。パゴダ(お寺)に入る際は肌の露出が禁止されているので、ミャンマー観光では重宝する。
日本の旅行者に人気なのはヤンゴン、バガン、ゴールデンロック。反対に今の穴場はインレー湖とカックー遺跡だ。どのエリアもまだまだ観光地化されていないので、本来のミャンマーの雰囲気を今のうちに味わって欲しい。絶対に食べておきたいのはナマズのだし汁で作った国民食のモヒンガー。味覚からミャンマーの日常を知って欲しい。