桜の季節が駆け足でやってきた。ソメイヨシノの開花を待つ名城を兵庫五国から1つずつ取り上げて花の見どころ・城の味わいを、連載としてお伝えする。1回目は淡路島の洲本城だ。
洲本市の南東部、市街地の南壁にあたる標高133メートルの三熊山の山頂に築かれた洲本城。東西およそ800メートル、南北600メートルにも及ぶ縄張りを持つ巨大な城でした。その縄張りと石垣の素晴らしさが魅力です。
現在、山の上から市街地を見守るように立っている天守は、模擬天守。1928(昭和3)年、昭和天皇の即位を記念して建てられました。当時の姿を模したものではありませんが、鉄筋コンクリート製の天守としては、国内で最も古いものです。この模擬天守、その下まで行くことはできますが、中に入ることはできません。
模擬天守の周りには、桜の木が植えられています。曲がりくねった石垣の間を進んでいくと目に飛び込んでくる天守に思わず声を上げる人が多いのですが、そこに桜が加わると、さらに感動度アップです。
淡路島観光協会によりますと、模擬天守から1段下がったところがおすすめのポイントです。さらに進むと本丸天守台へ。ここからは洲本市街と海水浴場がある大浜、洲本湾を一望できます。洲本八景の一つ「大浜を大観」に選ばれています。
そして、洲本市民の桜のポイントとしてもう1か所上げられるのが、曲田山公園です。洲本城の西にある標高80メートルの曲田山にあり、580本のソメイヨシノやヤマザクラが植えられています。淡路島を花で巡る旅「あわじ花へんろ」のスポットにも選ばれていて、洲本市街や大阪湾の眺めが人気です。
さて、洲本城に戻りましょう。
洲本城は、室町時代の末期、安宅(あたぎ)氏が水軍の城として築いたのが始まりで、その後1585年に洲本城主となった脇坂安治が、現在見られる洲本城の築城を始めました。