桜の季節が駆け足でやってきた。ソメイヨシノの開花を待つ名城を兵庫五国から1つずつ取り上げて花の見どころ・城の味わいを、連載としてお伝えする。3回目は尼崎城だ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
阪神電車尼崎駅のホームに降り立つと、南東に白い天守が見えます。昨年(2019年)3月29日に「開城」した尼崎城です。江戸時代の姿を忠実に再現しています。かつては、本丸を渦巻き状に取り巻く堀に阻まれ、なかなか近づくことができなかった城ですが、今の尼崎城は、駅からすぐにアクセスすることができます。
開城に合わせ、城の周りには、市民からの寄付などで37本の桜の木が植樹されました。尼崎城が開城してまだ1年足らずですから、桜の木もまだいわば「ちびっこ」です。桜並木になるにはもう数年かかりそうです。でも、城の近くで桜を楽しむことができます。
尼崎城のすぐ隣にある尼崎市立中央図書館。敷地には数本の桜の木があり、城に面する2階の玄関からは手が届きそうな感じです。昨シーズンはこの桜越しに見る尼崎城を写真に収める人も多くいました。
城の堀だった庄下川沿いにも桜並木が続いています。川にかかる開明橋には、当時の城の縄張りや町のデザインが施されています。
その開明橋のたもと、西の丸跡に建つのが櫻井神社。尼崎城の初代藩主・櫻井松平信定から最後の城主となった16代櫻井忠興を祭っています。神社は明治に入って建てられましたが、築城当初の尼崎城外堀にかかっていた橋の石杭・礎石や1847年ごろの本丸御殿の棟瓦などが残っています。