医療機器・特殊ゴムなどの素材メーカー、山本化学工業株式会社(本社:大阪市)が、繰り返し使用可能なマスク型製品を開発し、3月30日に大阪市内で会見を開いた。
同社は、新型コロナウイルス感染により世界中がマスク不足に陥っている状況を少しでも改善したいとの考えから「(従来型の)マスク使用による(他者への)飛散防止のみならず、(顔への)密着性を高めた積極的自己防衛マスク」を開発し、マスクカバーの販売を開始すると発表した。国連主導のSDGs活動に基づき、地球資源を無駄にしない「使い捨て」から脱却し、「長期間清潔に繰り返し使用可能」な製品になっているという。
同社によると、使用素材は0.5㎜と超薄厚の独立気泡構造のウェットスーツ素材に伸縮性の良いニット生地を両面ラミネート。ウイルス、菌、皮脂や水分を吸収せず、何度でも手洗いして陰干しして使用可能とのこと。少なくとも1年以上は使用できると述べている。
今回発売された商品「BIOLA(ビオラ)」は従来型のマスクとは全く異なるコンセプトの製品。前述の「自分自身の咳やくしゃみの飛沫を抑制するためのマスク」は「自分自身の感染予防」の期待を持って使用している人が多いが、そうではなく、一般的なマスクはウイルスや菌がマスク全体から侵入して口や鼻に入ってしまう。この製品は、口と鼻に近い部分の6か所の穴のみから空気を取り入れる構造だ。従来のマスクのように全体から空気を取り込まないため、ウイルスや菌が侵入する確率を低く抑えることができるというもの。
この製品にPFE試験適合フィルター、抗菌・抗ウイルス機能を有するフィルターを内部に当てることにより、一層の感染リスクの軽減につながるとの見解を示している。逆に「高機能マスク」の上からかぶせて使用してもさらに侵入を防ぐ「積極的自己防衛」が可能となってくるとのことだ。
●知的所有権、行使せず
山本化学工業は「MERS・SARS感染」が猛威を振るった時代から「積極的自己防衛対策」の課題に取り組んできた。その際に「マスクの空気の取り込み口を限定することにより、菌の侵入を低減する」ことが可能であることを考えていた。この課題に対する「知的所有権」も複数出願し、権利が確定したものもあるがこの「世界的危機」により先に発表した「ヌルヌル水着素材の知的所有権」同様、「マスクに関連する知的所有権を行使しない」原則的決断をしたという。
競泳水着のように直接的に人命に関わるものでないものについては同社の知的所有権を使用しても構わないが、マスクのような製品には「それなりのレベルの機能が絶対に必要」と、同社。万一、機能のないものが同社素材と同様である等の虚偽表示があることは看過できないと説明。他メーカーに対しても同様の考え方で国民に役立つ製品があれば内容の確認を経て、「YAMAMOTO self diffence concept」のパートナーマークを出すことにより他社にも協力を求め、「日本の国難回避・世界の感染拡大防止」に尽力したいと語った。
山本化学工業株式会社ホームページ
http://www.yamamoto-bio.com/