神戸駅エリアを代表する創作和食の名店「へっついさん」が、今、新鮮な魚介だけを使った丼や巻き鮨などをテイクアウトで提供している。「へっついさん」とは、関西弁で「かまど」の意で、店主の伊藤拓さん(39)が、2008年冬にオープン。魚を中心とした創作和食と全国から集めた旬の地酒で、神戸の食通たちの舌をうならせている。冬にはフグをはじめとする鍋も名物だ。
同店が用意しているテイクアウトメニューは、すべて伊藤さんが目利きをした新鮮な魚介を使った丼や巻き鮨など。「海鮮丼」「海鮮漬け丼」はなんと680円。他にも、お店で丁寧に漬けている自家製のイクラを使った「自家製いくら丼(1,200円)」は絶品だ。「海鮮太巻き」は丼とはまた違った味わいが楽しめる。生ものが苦手な人は「ちらし鮨」を。いずれもネタは日によって替わるので、一度といわず二度三度訪れたい。
もともとテイクアウトには対応していなかったが「(新型コロナウイルス感染拡大の影響で)近隣の人が食べるものに困らないように」との一心で3月の上旬からテイクアウトを開始。デリバリーをしない理由については「どんな人が、どんな雰囲気のお店で作っているのか、お店に来て確かめてほしいから」という。なるほど、寿司店などで下積みを経た伊藤さんの腕は確かで、魚を切る、盛り付ける、そうした一挙手一投足に見入ってしまう。
趣味は草野球という伊藤さん。はじめは「頑固な料理人」に見えるかもしれないが、話しかけてみると話題が豊富で、柔らかい笑顔が印象的。ときには心優しい父親としての一面も垣間見ることができる。接客の際に心がけていることをうかがうと「来てくれたお客さんの要望にできるだけ柔軟に寄り添うこと。例えばメニューにないものでもオーダーがあれば、できる範囲でチャレンジしたい。“できない”と“やらない”は違うので」と力を込める。
普段はカウンター6席、座敷8席の温かみのある店内で絶品料理を楽しめる「へっついさん」は神戸駅から西に歩いて5分ほど、港町線沿いにある(神戸市中央区古湊通2-2-23)。通常の営業時間は午後6時~午後11時だが、テイクアウトのみの営業となっている現時点では午前11時30分~午後2時、午後5時~午後8時(第2、第3土曜日定休)。テイクアウトは今年中は継続の予定。予約も含めて、詳細は店舗に要確認(電話は078-362-1840)。
近所の人はもちろん、初めての人も気軽に店のドアを開けてみてはいかがだろうか。