神戸の港から感謝を!! 奮闘する医療従事者に汽笛と手旗信号でエール贈る

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 神戸の海運会社・早駒運輸は、新型コロナウイルスの感染者をはじめとする治療現場で懸命に励む医療従事者に向け、感謝とエールを伝える「Friday Ovation(フライデー・オベーション)」を、8日に神戸港で行った。

(写真提供:早駒運輸)
(写真提供:早駒運輸)

 8日正午の時報とともに早駒運輸が所有する客船「bohbohKOBE」号を中心に、5隻の船が整列し、晴れ渡る神戸港に汽笛が鳴らされた。船上ではスタッフの想いを込めた手作りの2メートル四方の旗が懸命に打ち振られ、船員による赤と白の手旗信号で「ありがとう」と、同島にある神戸市立医療センター中央市民病院や将来の医療を担う兵庫医療大学に向けて送られた。

 この「Friday Ovation」は、毎週金曜日正午に神戸・ポートアイランドのしおさい公園西側岩壁沖で行われる。

(写真提供:早駒運輸)
(写真提供:早駒運輸)

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「神戸の元気は港から」をスローガンに、神戸港の活性化に取り組んでいる早駒運輸。同社の渡辺代表取締役社長は、ラジオ関西の取材に応じ、「Friday Ovation」の趣旨について、「医療の最前線で(新型コロナウイルスに)敢然と立ち向かい、自らの危険と隣り合わせで働いて下さっている医療従事者に向けて、グループ所有の船の汽笛(15秒)と各セクションスタッフ手書きの旗による手旗信号に感謝とエールを込めた」と語る。そして、「阪神・淡路大震災を経験したからこそ、この想いは強くなるばかり」という。

 震災からの復興の道を歩むなか、2017(平成29)年には、神戸港開港150年を記念して世界的指揮者の佐渡裕氏が指揮・指導する弦楽オーケストラ「スーパーキッズ・オーケストラ」のOB・OGメンバーによるスペシャルアンサンブルチーム「スーパーストリングスコーベ」を、HKMエンタープライズ株式会社の代表として主催・サポートする、渡辺社長。その「スーパーストリングスコーベ」も、『つらい状況を乗り越え、輝く未来へつなげよう』という思いで、世界中の仲間たちをテレワークでつないで演奏する動画を4月から公開している。

 渡辺社長は個人的にラグビーに造詣が深い人物。ラグビーの日本代表選手であり象徴である故平尾誠司氏と個人的にも親交を持つとともに、尊敬もしている。平尾氏との出会いを機に、渡辺社長の息子もラグビー選手の道を歩むことになったとのこと。渡辺社長は平尾氏の言葉を引用して日本や世界のおかれた状況を重ねて思いを語る。

渡辺社長
早駒運輸の渡辺真二代表取締役社長。故平尾誠司氏と親交が深かった(写真:Y.KUROKAWA)

「今はまだ向かい風、ラグビーも向かい風のときは、失点を少なくしながら耐えるしかない。いつかきっと追い風が吹いた時は帆を張ってその風に乗って行けばいい」

 渡辺氏によると、現在の商船の船乗りには前出の「手旗信号」や「モールス信号」の教練はないという。通信手段の発達により船の進路や状態の伝達も無線等ですべて事たりる時代となった。新型コロナウイルス禍によってマスク着用、大きな声を出さない・出せない状況下での無音の手旗による「ありがとう」を意味する信号は、記者の心を打った。

 初めての「Friday Ovation」を終えたあと、帰港した同船の船着き場で行われた囲み取材で、渡辺社長は、愛するラグビー精神のベースとなるラグビー憲章・五つの言葉「品位、規律、結束、情熱、尊重」がまさにいまの世界に必要なものだと語っていた。

 同社の社員総出で取り組む心意気、必死で頑張る医療関係者、日本・世界の人々に心からのスタンディングオベーションを送りたい。

(取材・文:黒川良彦)

(写真提供:早駒運輸)
(写真提供:早駒運輸)

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