緊急事態宣言の解除を受け、街や行楽地に人の姿が戻り始めている。神戸の観光スポットの1つ、六甲山も、にぎわいを取り戻しつつある。
5月30日には、六甲山観光株式会社が運営する六甲ガーデンテラスや六甲山カンツリーハウスなど、山上の施設が営業を再開した。再開初日は好天にも恵まれ、かつての週末と変わらないほどの人が訪れた。また六甲ケーブルも運転再開。当面、定員の4分の3で運行するという。
六甲山は阪神間に住む人にとっては身近な存在だ。神戸市の公式サイトには手軽に登山を楽しめる山として紹介されている。最高峰は931メートルだが、南斜面では海岸から5キロから7キロで山頂部に到達できるという。急峻で谷は深い。
ただし、遭難者も多い。
山と高原地図「六甲・摩耶」の執筆者で、神戸市内でアウトドアライフスタイルショップ「白馬堂Rokko」を営む浅野晴良さんによると、2018年、兵庫県内で起きた山岳遭難の件数は118件、このうち半数近い64件が六甲山で発生した。
さらにその半分ほどの30件は、「道迷い」だった。身近な山ゆえに、地図を持たずに山に入ったり、ふらっと入って迷い、迷っているうちに暗くなり、懐中電灯もランプも持っていなかったというケースもあり、「道迷いは日本で一番多いのではないか」と話す。
浅野さんによると、緊急事態宣言を受け、以前から山に来ていた人は少なくなった。解除後、山に人が増えた。登山者のほか、親子連れの姿も目立つようになった。
身近な山だからこそ、普段生活している場所と違うという心構えが必要という。今、そしてこれから注意すべきことについて、浅野さんに聞いた。