北朝鮮に拉致された横田めぐみさん(失踪当時13歳)の父で、拉致被害者家族会初代代表の横田滋さんの死去を受け、拉致被害者・神戸市の有本恵子さん(失踪当時23歳)の父・明弘さん(91)がラジオ関西の取材に応じた。長年一緒に拉致問題の解決に向け闘った横田滋さんを偲んだ。
「残念だが天命だと思うしかない。拉致被害者の家族会の初代代表に就任して以来、(妻の)早紀江さんと一緒に、全国で拉致問題を伝える活動してくれた。横田さんがいたから我々はここまで活動してくることができた。それでも、来るときが来てしまったんやな」
2002(平成14)年の日朝首脳会談以降、政府が認定した拉致被害者の父母で健在なのは恵子さんの父・明弘さんとめぐみさんの母・早紀江さん(84)だけに。子どもとの再会を果たせぬまま他界したのは滋さんが8人目となる。
有本さんは「もうあとがない。何せ親子3代にわたって独裁国家を築き、沈黙を守ってきた国だけに(拉致問題解決は)大変長い道のりだ。安倍首相が北朝鮮の金正恩委員長と向き合うしかない」と訴えた。
めぐみさんの失踪は1977年、恵子さんは1983年。今年(2020年)めぐみさんは10月に56歳に、恵子さんは1月に還暦を迎えた。昭和から平成を経て、いまだ叶わない再会に明弘さんの心には憤りとやるせなさが交錯している。