新型コロナウイルスは、たくさんの業界にダメージを与えた。なかでも演劇や音楽など文化などのエンタメ業界には大きな影響が出ている。
神戸・三宮に誕生した芝居小屋「シアター・エートー」もそのひとつだ。劇場の芸術監督で劇作家の菱田信也さんに、今とこれからについて聞いた。
「シアター・エートー」は、大阪芸術大学舞台芸術学科にかつて存在した「A棟」というプレハブ小屋の名前が由来で、今から3年前の2017年6月に開館した座席数100の小劇場。神戸の中心地・三宮の表通りから1本入ったところにあり、そのたたずまいから「芝居小屋」という人もいる。
開館以来、演劇をはじめ、落語などの古典芸能からトークショーまで幅広い内容の公演を行っている。各地にあった小劇場が経営難で姿を消すなか、神戸の文化の発信地として期待されている。
しかし、そのエートーも、3月初旬の公演を最後に、6月上旬までまったく公演ができなくなった。
「6月1日から通常業務に戻り、少しずつ公演の準備などを始めているが、この3か月ほどは公演も打てず、貸館としての料金も発生しない状況が続いている。劇場や公演のスタッフもまったく動けない状態だった」と菱田さん。「もともと僕の仕事はステイ・ホームできるので、その間、いろんなものを書いていた」とも言う。とはいえ、新型コロナ前と今ではすべての物事や考え方が大きく変わってしまった。
「今までは当たり前にできたことができなくなる。たとえば近い距離のラブシーン。お客さんからは『おいおいそんなに近くて大丈夫か?』となってしまう。3密を避けるためには100の客席も減らさなければならない。でもそうすると、採算がさらにあわなくなる」
もともと小さな劇場は、満席になったとしても簡単に黒字にならないのが以前から言われている課題。そこに新型コロナウイルスが追い打ちをかけた格好だ。
「劇場として何ができるのか?」。閉館中もスタッフらとネットを使った会議で話し合っていた菱田さん。そんななかでてきたアイデアが「動画配信」だった。
神戸三宮シアター・エートー
http://www.a-to-kobe.jp/