政府は19日、都道府県をまたぐ移動の自粛要請を全面的に解除した。イベントの人数上限も1000人に緩和し、プロスポーツは無観客で認める。経済活動の範囲拡大と感染防止をどのように両立させるかが今後の課題となり、新型コロナウイルス感染拡大「第2波」の抑制を図る。
■「恐る恐る」の生活がスタンダードに
姫路市に住む40代男性は市内の繁華街でダイニングバーを2店舗を経営する。持続化給付金が5月に支給されるもテナントの賃料や諸経費ですべて帳消しに。6月、約50日ぶりに営業を再開した。
「どうでしょうね。国民は本心から『良かったね』と喜べるのでしょうか? 一つひとつの行動について恐る恐る考えながら生活するのが“新しい生活様式”になっているような気がします。ためらいながらお店に来てくださるお客さんに聞くとね。
姫路の街は、5月末の緊急事態宣言解除から徐々に増えているように思いますが、コロナ感染拡大前と比較すると全然人は戻っていない……。大手企業に勤めている常連さんの多くは、まだ自粛中でテレワークだったり短縮勤務だったり。
6月に入ってから以前の勤務に戻り、普通に出勤しなさいとの連絡をもらえた人もいるようですが、会社内では『解除になったからってフラフラ外を出歩くなよ』という無言のプレッシャーを与えられる空気が漂っているらしいです。直接言われるわけではないので余計にキツいようです」
「今回の解除は、来る可能性が高い第2波への布石かと思っちゃいますね。安倍首相は18日の会見で経済活動を止めたくないと話してましたが、『解除したからまた(感染者が)増えた、増えたから次の対策立てますよ』みたいな。政府は次の抑制のために何か理由付けをしてるような気がするんです。それが今回の全面解除だと思います。表向き、経済活動を回すとは言うものの。実際に私たちの周りでしでに4月に廃業した仲間も多くいます。姫路でも神戸でも……(廃業した)彼らは『今さら全面解除といわれても』ってあきれ顔です。次の職探しに必死です。