光秀と対峙した地、丹波市で歴史を訪ねる(1)『ラジオで辿る光秀ゆかりの兵庫丹波』

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 明智光秀ゆかりの地として注目される兵庫・丹波について、歴史をはじめ多面的に取り上げる『ラジオで辿る光秀ゆかりの兵庫丹波』(ラジオ関西)。7月2日放送回から4週にわたって丹波市内の歴史を訪ねるシリーズをお届け。まずは丹波市の春日町を取り上げ、最初に「歴史は?」ということで資料館を訪ねました。番組パーソナリティーは「兵庫・神⼾のヒストリアン」として活躍する⽥辺眞⼈・園⽥学園⼥⼦⼤学名誉教授と、久保直子さんです。

◆丹波市立春日歴史民俗資料館と春日郷土資料館

 舞鶴若狭自動車道と国道483号北近畿豊岡自動車道の分岐点で交通の要衝になる、丹波市。播州から加古川をさかのぼってきた古代の道、摂津から武庫川をたどってきた道が、峠を越え、合流したところから北へ行くと、北東では由良川に沿って若狭へ。丹後国に行く交通路であり、西北の遠阪峠を越えると但馬へという、摂津・播磨・但馬・丹波の交通の十字路です。

 そんな場所のため、かなり早くから人々が住み、旧石器も出土しています。春日インターチェンジのすぐ近くにある「七日市遺跡」からは竪穴住居やお墓も見つかり、野々間遺跡からは銅鐸が出土。うずもれていたままの状態で発見されたので、地面も含めて丹波市立春日歴史民俗資料館に展示してあります。田良原遺跡からは石の磨製剣が出土。近辺には大きな二間塚という前方後円墳もあり考古学的な遺物が展示してあります。山垣の遺跡からは木簡も出てきています。

 そして中世の頃になると交通の要衝は軍事的な要衝ともなりました。黒井城が作られ、明智光秀と戦いました。そんな長い歴史の遺物が歴史民俗資料館に展示され、生活文化の遺品を収めた春日郷土資料館がすぐ西隣にあります。舞鶴若狭自動車道の春日インターチェンジから約5分。JR黒井駅から徒歩約10分の丹波市役所春日庁舎のすぐ近くに隣接しています。

ラジオ収録のようす
ラジオ収録のようす

◆兵主神社

 兵庫県立氷上高校の西隣。春日の盆地の北の端、黒井城の山のふもとに兵主神社はあります。兵主神社というのは各地にある神社です(姫路の射盾兵主神社など)。

兵主神社
兵主神社

 兵というのは武器のこと。兵主は武器の神様。平安時代のはじめの延喜式という法令の中に政府が公認した神社として出てきます。平安のはじめに武器の神様がまつられています。大化の改新の詔の中に「郡の中に武器をひとまとめにまとめた武器庫を作れ」とあるため、武器庫のあたりで武器を守る神様としてまつられたものなのでしょう。

 中世になって山城ができたりすると、ここを拠点にした武装勢力も同じように信仰するというように、長い神社としての歴史を伝えてきたところです。

 非常に興味深いのは、本殿の奥の大きな森の中に巨石がいくつかあり、その中に「鏡石」と名付けられた巨石があることです。鏡は道具として「姿を映すもの」「影を見るもの」でした。それが「かげみ」となり、なまって「かがみ」という言葉が生まれたといわれています。

鏡石
鏡石
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兵主神社奥の森の中にある巨石

 鏡が本格的に使われるようになったのは弥生時代のこと。現在、我々はこの鏡の表面に太陽が映ってピカピカすることを「反射する」と科学的に言いますが、多神教の文化を持っていた古代の日本人にとっては、その最大のものが天照大神といわれた太陽神でした。遥か遠いところにある太陽がこの金属の器に乗り移ると信じ、神様が乗り移る道具とされました。先ほどの鏡石は姿を映すことはできません。「神様が乗り移る」という古代の信仰のなごりでしょう。

 平安時代の記録の中にこの兵主神社が出てくることからも、日本でも最も古い時代から神社としてまつられている場所だといえるのかもしれません。

兵主神社社叢の紹介板
兵主神社社叢の紹介板

 神社の名前からも戦いに強い神様という意味がくみ取れます。中世になり侍の時代になると侍たちの信仰が集まります。律令国家が動揺する時期に荘園が形成され春日部荘という荘園ができ、中世の終わり戦国のころになると各地に武将が砦、お城を築きました。ちょうどこの神社の東側に県立氷上高校がありますが、その東の山が黒井城の本丸のある山です。武将たちは戦いに勝つお祈りをするためにこの神社を信奉しました。明智光秀に打ち勝ったといわれている赤井直正の兜が伝わっています。

(文・構成=番組パーソナリティー久保直子)

番組
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田辺眞人・園田学園女子大学名誉教授と久保直子さん

『ラジオで辿る光秀ゆかりの兵庫丹波』2020年7⽉2⽇放送回音声

ラジオで辿る光秀ゆかりの兵庫丹波 | ラジオ関西 | 2020/07/02/木 17:35-17:50

放送後1週間聴取可能、エリア内無料 radikoプレミアム会員はエリア外聴取可

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