社会問題となった「あおり運転」の厳罰化を盛り込んだ改正道路交通法が6月30日に施行された。改正ではこれまで定義がなかったあおり運転を「妨害運転」と規定し、ほかの車の通行を妨げる目的で車間距離を保たないケースや急な車線変更、幅寄せ・蛇行など10の行為を対象としている。罰則は最高で5年以下の懲役、または100万円以下の罰金(高速道路での停車など著しい危険を生じさせた場合)。行政処分として違反点数25点で免許取り消しに(欠格期間3年)。自転車のあおり運転も危険行為と規定した。
■「動く映像、動かぬ証拠に」厳罰化とともに変化する捜査ツール
兵庫県警はあいおいニッセイ同和損害保険とコラボレーションし、ドライブレコーダーの図柄とともに「WARNING 録画中 接近注意!!」と警告したステッカーを2万5,000枚作成、兵庫県警が感謝状を贈った。
あいおいニッセイ同和損害保険はドライブレコーダーを活用した「事故緊急自動通報サービス」を始めた。ドライブレコーダーが衝撃を感じるとその映像がコールセンターに送られ、専任オペレータが運転手に安否確認などの電話連絡を行っている。
あいおいニッセイ同和損保の中村 哲・神戸支店長は「大切なのは街の安心、安全。実際にあおり運転を仕掛けようとした悪質ドライバーが、このステッカーを見て信号待ちのあと車間距離を取るようになったというエピソードもあった。安全運転するドライバーにとって不可抗力ともいえる『あおり運転』。新型コロナウイルス感染拡大防止のための自粛ムードが過ぎ、今後外出の機会が増えても、こうしたことに遭遇しないためにステッカーを活用していただきたい」とコメントした。
■見える証拠、客観的証拠の重要性
兵庫県警の矢野浩司・交通部長は「あおり運転=妨害運転罪の立証には『客観的証拠』が必要。あおり運転は比較的長い距離にわたるため、パトロール中の警察官がその場面に出くわす確率が低くなる。単に被害を受けたという申告だけでは立証できないケースもある。だからこそ客観的証拠としてのドライブレコーダーの映像の重要性が増している」と指摘する。