沙羅や桜、ステイホームに4K動画と写真で 兵庫・福崎の古刹 應聖寺

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 新型コロナウイルス感染防止の自粛ムードで外出のままならない日常に「ステイホーム」で季節外れの花を楽しんでもらおうと、兵庫県福崎町の天台宗古刹・應聖寺(おうしょうじ)が「おうちで花の寺を楽しんで」と動画や画像を公開した。

應聖寺・沙羅の花
應聖寺「沙羅の花(ナツツバキ)」

 深山の木々も季節の花々も、その季節その時々に、花を咲かせて実を結び、いつもの通りの自然の営みを見せている。都会の雑踏を離れ、深い緑の森と庭園の木々に囲まれた山寺で騒々しい日常を忘れ「ホッ」としてほしいという思いと、人と人との接触が敬遠されて人と社会のあり方が大きく変わる一方で、変わらぬ自然の姿があるという思いから企画された。

 應聖寺は沙羅双樹の花の寺として知られる。

沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす~「平家物語」(画像提供・應聖寺)

『平家物語』の冒頭には「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす」とあり、沙羅は諸行無常をたとえる花とされる。日本ではナツツバキと呼び、初夏に1日だけ咲く白いツバキに似た花をいう。栄華を誇った平家ですら、すぐ源氏に取って代わられたことから、私たちの人生も春の夜の夢のようにはかないものだ、と人の世の無常を教えてくれる。

 沙羅は6月中旬から7月上旬までが見ごろ。毎年1日だけの花を見に訪れる参拝客でにぎわうが、ことしは外出自粛のなか沙羅は人目にほとんど触れられることなくひっそりと咲き、散ったという。

 應聖寺には1,000種以上の植物が育っている。四季折々の花々を見てほしいという思いから出来るだけ手を入れず自然な姿を残している。春には桜、秋にはシオン(紫菀=十五夜草)、ホトトギス、タカノハ(鷹の羽)、ススキ、ムラサキシキブ、コムラサキ、さらに11月に秋が深まれば、ツワブキ(艶蕗)、カイノキ(楷樹)の紅葉、12月初旬にはセンリョウ・マンリョウが色づき、全山はモミジの錦に包まれる。

應聖寺の桜、圧巻の4K撮影動画(映像提供・應聖寺)

 また本堂・書院裏手に続く深山とモミジを借景にした石組みの庭は、江戸時代初期に作庭された「名勝應聖寺庭園」(県指定文化財)。初夏には青モミジ、秋には錦に色づくモミジが見もの。書院の机に映った庭園の青モミジや錦のモミジは、池に映るような幻想的な風景に包まれる。雑踏を離れた山寺ならではの景色は、自然との一体感を感じることができる。

青もみじ
錦のもみじ

■コロナとの闘い、収束すれば「自分探しの“旅”」に

 應聖寺の桑谷祐顕住職は「コロナウイルスとの共存は、誰にでも人生の幕切れが、ある日突然やってくるんだという、諸行無常の道理を教えてくれた。しかも人を選ばず、時を選ばず。一度限りの人生を、有意義なものとするために、過去を振り返り将来を夢見ながら、鎌倉時代の禅僧の言葉とされる『脚下照顧(きゃっかしょうこ)』のごとく自身の足元をよく観察して、しかるべき時に着実な一歩を歩み出してほしい」と話す。

 桑谷住職はまた「人はひとりで生きているわけではなく他者への思いやりのできる人であり続けるべきだが、そのためには人の集まる社会がどうしても必要」と訴える。

 そして「『Go To トラベルキャンペーン』について経済活性化か感染拡大防止か、是非が問われている。議論は尽きない。私としてはコロナ禍がもう少し落ち着いた時にゆっくりと『自分を探す旅』に出かけていただきたい。日ごろ私たちが背負っている、硬くて重い「心の鎧(よろい)」を取り外してほしい」と願う。

その日1日だけ咲く沙羅の花
その日1日だけ咲く沙羅の花(画像提供・應聖寺)

 1年365日かかって、その日1日だけ咲く沙羅の花。季節外れの沙羅の花を楽しみ、来年の季節にはぜひ訪ねてみてはどうだろうか。

應聖寺

◆妙見山應聖寺(みょうけんざん・おうしょうじ)兵庫県神崎郡福崎町高岡にある天台宗の寺院。飛鳥時代の白雉年間、1300余年前に天竺の高僧・法道仙人によって開基されたと伝えられている。鎌倉時代、播磨国は有力御家人の梶原景時の所領を経て小山氏の領地となり、應聖寺は代々播磨国守護職の祈願所として発展。関西花の寺二十五霊場八番、播州薬師霊場第十三番札所。「名勝應聖寺庭園」は兵庫県指定文化財。

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