マッチングで後継者不在を解消 骨伝導を使った集音器の価値をいかして事業承継 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

マッチングで後継者不在を解消 骨伝導を使った集音器の価値をいかして事業承継

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 ラジオ関西の三上公也アナウンサーが、兵庫・神戸で活躍する企業やお店を訪ねる『こうべしんきん三上公也の企業訪問』(ラジオ関西『三上公也の朝は恋人』内、午前9時38分ごろ~)。7月28日の放送回では、ソリッドソニック株式会社(本社:神戸市中央区磯上通)を訪問し、代表取締役CEOの久保貴弘さんと取締役CTOの田中哲廣さんに、骨伝導への取り組みや事業承継などを聞いた。

ソリッドソニック株式会社の代表取締役CEOの久保貴弘さん(右)と、取締役CTOの田中哲廣さん(左)
ソリッドソニック株式会社の代表取締役CEOの久保貴弘さん(右)と、取締役CTOの田中哲廣さん(左) ※写真撮影時にマスクを外していただきました

 骨伝導の振動を利用し、聴覚障がい者や難聴者などが周囲の音を聞くことができるようになる集音器の開発・製造・販売を行っているソリッドソニック。今年2020年の2月20日には事業承継する形になり創設者である田中さんから久保さんへ受け継がれた。

 元々、広告に携わる仕事をしていた田中さんは、骨伝導を取り扱っている方から広告依頼を受けたときに、骨伝導を体験して「あ、これは面白いな」と興味を持ち、2008(平成20)年に創業。骨伝導を開発していく途中で音が聞こえなかったり、言葉をはっきり聴き取れない聴覚障害者が、たまたま同社の機器を使用したときに「音(言葉)が聞こえた」という声をもらったことで、田中さんは「これは価値のあるものだ」と確信したという。そして開発をさらに進め、近年、製品として表に出せるようになった。

 事業承継について、田中さんは「ひとりで全部やってきたんですが、体力的にこれはやばいなということが1回ありまして、技術などがうずもれてしまうのが非常にしのびない。何とか(技術を)伝えたい」という思いから、公益財団法人神戸市産業振興財団神戸市産業振興センターの事業承継マッチングシステムに応募した。

 一方、久保さんは、元々大手家電メーカーに20年ほど勤務。「今から3年ほど前に『2025年問題』ということで、日本にある300万社以上の会社が、後継者がいなくて悩んでいるという話題をよくニュースで目にしていた」(久保さん)なか、会社に残り社会に貢献していくか、自分の今まで培った経営スキルを使って一石を投じていくのかと考えた末に、事業承継の道を選んだ。

 昨年の6月頃に後継者不在に悩む経営者と後継者として希望したい方々をマッチングする組織に久保さんは登録をし準備を進めると、公益財団法人神戸市産業振興財団より田中さんと久保さんがマッチングし、今回の事業承継に至ったそうだ。これは、神戸市の事業承継支援の取り組み「100年経営支援事業」でのマッチング成約第1号の事例でもある。

 今後について「今考えているのは、難聴者の方が商品を手に取っていただいて、実際に有効なのか有効じゃないのか(判断してもらうこと)が非常に重要」と語った久保さん。ネットショップなど『Eコマース』といった場を通じた販路の拡大についても前向きにとらえていた。


『こうべしんきん三上公也の企業訪問』2020年7月28日放送回 音声

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