海難救助に携わる海上保安官の活躍を描いた映画「海猿」の初公開から16年(映画第1作公開は2004年。2012年までに劇場上映は4作)。映画のヒットとともに潜水士にあこがれて海上保安官を志願する若者が増えたという。
領海を守る、人命を救助するイメージが強い海上保安官だが、巡視船には、航海、機関、通信などを担当する海上保安官のほか、「主計士(しゅけいし)」と呼ばれる海上保安官も乗っている。 主計士は主に乗組員の食事の調理を担う。長い航海、海が荒れて大きく揺れる船内でも料理を作り上げる主計士は、まさに“船の料理人”。主計士には料理のレパートリーの多さや味も求められ、腕の良い主計士は全国でも有名で、海上保安庁の異動時期には有名な主計士の配属先がどうなるのか、乗組員たちの話題にのぼるそうだ。
2016年には、こうした「船飯(ふなめし)」を紹介した本も出版されたが、今年に入り、新型コロナウイルス感染拡大防止、また猛暑での熱中症防止のために「ステイホーム」が新しい生活スタイルとして取り入れられる中、現役海上保安官の実演で「船飯」のレシピを知ってもらおうと撮影した「明日への活力、みなぎる元気!!海保の元気飯」のYouTube動画が公開されている。
企画したのは神戸を拠点とする第5管区海上保安本部の広報・地域連携室の若手職員、保安官ら。管轄区域は主に太平洋に面した近畿・四国の7府県(兵庫・大阪・奈良・和歌山・滋賀・徳島・高知)。7つの海上保安部(神戸、姫路、和歌山、田辺、徳島、高知の保安部と大阪海上保安監部)、9つの海上保安署・分室、関西空港の海上保安航空基地などで構成される。巡視船など47隻、航空機は5機、 職員約1100人でこれらの広い海域を守っている。
ラジオ関西「ラジトピ」ではステイホームの一助に、「海猿たちの元気メシ!」 と題してこれから3回にわたって紹介する。1回目は、田辺海上保安部(和歌山県)に所属する巡視船「みなべ」。入庁3年目の女性主計士が地元伝統の祝い飯「さんまの押し寿司」とご当地食材のしらすと南高梅を使用した「梅おろしそば」を披露する。
「さんまの押し寿司」三重県の志摩半島から管内の和歌山県に至る熊野灘沿岸一帯に伝わり、主に祝いの席や祭事などで食する郷土料理。また「梅おろしそば」は見た目も夏らしくさっぱり。つゆのダシの取り方も本格的だ。注目は押し寿司での奥義。絶対に見逃せないテクニックがある!