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withコロナでの終戦記念日、神戸の戦争資料館「早く再開を」

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 太平洋戦争の終戦から75年を迎えた8月15日、新型コロナウイルスの影響で追悼の場は激減。全国各地で酷暑の中、マスク姿で祈りを捧げる姿も見受けられた。戦争体験者や遺族の高齢化が進み、継承はさらなる課題となる。政府主催の全国戦没者追悼式が日本武道館(東京都千代田区)で開かれ、天皇、皇后両陛下、安倍首相をはじめとする三権の長らが参加。新型コロナウイルス拡大の影響で、規模を大幅に縮小し、式典での国歌斉唱は行われなかった。参列者は前年の1割未満の約500人にとどまった。戦争体験者の証言の収集、戦争を語り継ぐ「語り部」の確保など、今後取り組むべき課題は多い。

「戦没した船と海員の資料館」(神戸市中央区海岸通)
「戦没した船と海員の資料館」(神戸市中央区海岸通)

 戦争中に犠牲になった民間の輸送船や乗組員らの資料を集める「戦没した船と海員の資料館」(神戸市中央区海岸通)。コロナの影響で春から休館中で、例年なら全国から遺族など100人規模で集まる慰霊式を中止した。中止は台風の影響を受けた去年に続く。しかし、資料館館長で全日本海員組合関西地方支部支部長の浦隆幸さんは 「75年の節目、何とか祈りを捧げたかった」という思いから、関係者だけで集まったという。

正午の時刻を知らせる「八点鐘」
正午の時刻を知らせる「八点鐘(はちてんしょう)」(戦没した船と海員の資料館)
関係者のみで黙祷
関係者のみで黙祷(戦没した船と海員の資料館)

 8月15日正午、船の上で正午の時刻を知らせる「八点鐘」が鳴る中、浦館長や研究員など関係者15人は、ソーシャルディスタンスを保ちつつ、海に眠る犠牲者に祈りを捧げた。 いまや船内で時を知らせるのに使う時鐘(タイムベル)を知る世代も少ない。

 太平洋戦争で商船や漁船といった民間船や船の運航に携わる人々が戦場に赴いた。兵士や弾薬、物資などの輸送を担ったが十分な護衛もなく駆り出され、約7,240隻、6万人以上の船員が犠牲となったという。犠牲10~20代の若者たちで、その数は全体の6割にあたる約3万5000人。14歳という若さで海に散った少年船員たちも1000人近くにのぼる。

「戦没した船と海員の資料館」展示パネル
「戦没した船と海員の資料館」展示パネル

 全日本海員組合が運営、軍艦以外の戦没船に特化した施設は国内で唯一の「戦没した船と海員の資料館」は終戦55年の2000年8月15日に開館、 戦没した船や船員たちの最後の様子や記録を伝えようと資料を展示。見学を受け入れるとともに、身内の最後の様子を知りたいと訪れる遺族からの問い合わせに応じている。

「戦没した船と海員の資料館」は、すでに9月中旬までの休館を決めており、再開については今後も新型コロナウイルスの影響をみながら判断するという。浦館長は「若い中高生の見学希望も多く、再開の日を早く迎えたい」と話す。

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