『熱間鍛造』技術が魅力 鉄道車両関係のネジが主力の鉄工所 事業承継を機に若返りに成功 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

『熱間鍛造』技術が魅力 鉄道車両関係のネジが主力の鉄工所 事業承継を機に若返りに成功

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 ラジオ関西の三上公也アナウンサーが、兵庫・神戸で活躍する企業やお店を訪ねる『こうべしんきん三上公也の企業訪問』(ラジオ関西)。8月18日の放送回では、井出鉄工株式会社(本社:神戸市長田区浜添通)を訪問し、代表取締役の井出光一さんに、事業承継や取り組みを聞いた。

 ボルトを主に製造している井出鉄工。井出さんの祖父の代よりネジを鍛造するところから始まり、「気づけばここ何十年、不思議に鉄道車両関係のネジが主力になっていた」。鉄を1200℃前後で焼き、金型にはめこんで成形し加工する『熱間鍛造』という技術が、鉄道車両産業に需要があり、「(同社の)設備がだんだんと鉄道向けになっていったというのが正解でしょうね」と井出さんは同社の趣きを語る。

井出鉄工株式会社代表取締役の井出光一さん
井出鉄工株式会社代表取締役の井出光一さん ※写真撮影時にマスクを外していただきました

 ボルトとナットの組み合わせや、ボルトの大きさなど、たくさんの種類のボルトがあり、鉄道車両からボルトが脱落するのを防止するためにボルトの先端に穴をあけて針金で巻いていくというようなボルトもあるそうだ。また同社は鉄道に特化したボルトを作っているものの、「『ネジだけで』というのは、今の時代、難しいものがある」と、設備でできる範囲は何でも作ろうと視野を幅広く持っている。

 一方、事業承継について問われると、「本来、鉄工所というのはなかなか跡を継ぐ人がいない、職人さんもいないというのをよく聞く……」。しかし、モノ作りに興味を持つ、元々サラリーマンだった息子さんが『跡を継がしてほしい』と突然言ってきたという。自身のこれまでの苦労経験もあり、一度は断ったそうだが、どうしてもと言われ、承諾。「それを境に機械を入れ替えたり、人のつながりで若い人がどんどん入ってこられて、今ではびっくりするぐらい若い方が増えました」。

「全く鉄工所とは関係のないところから新人が入ってきて、『この人大丈夫かなぁ?』と思ったら、あっという間にいろんなこと覚えていった。人というのは一生懸命にやろうという気があれば何でもできるんだな」と痛切に感じたそう。また同社を昔から知る人からは『井出さんのところ、(会社が)ものすごい若返ったな』といわれ、それがすごくうれしかったとにこやかに語る。

 同社の自慢は『人』という井出さん。「私のところの従業員を一番ほめたい。真面目で一生懸命働く従業員が増えたし、それは本当に頭が下がる思いで、ありがたい」と、ともに働く仲間を称えていた。そして、今後については「これからまだまだ前を向いて良いものを作っていかないかんなという使命はありますね」と将来を見据えていた。

井出鉄工株式会社代表取締役の井出光一さん
井出鉄工株式会社代表取締役の井出光一さん ※写真撮影時にマスクを外していただきました

井出鉄工株式会社
http://idetk.co.jp/


『こうべしんきん三上公也の企業訪問』2020年8月18日放送回 音声

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