――母子ともに、転倒の恐怖は計り知れませんね。
徒歩よりちょっとでも楽をしたいという気持ちで、子どもに怖い思いをさせてしまったことが申し訳なくなったんです。でも、それでもおでかけがしたい。そこで「もう二度とこけない自転車に乗るんだ!」と決めました。それが2011年の夏頃だったと思います。それから、ふたごが乗れる自転車の開発に進んでいきました。
――自分で作ろう、という考えに至るのがすごいです。
最初は、近所の自転車屋さんに行って、「双子を同時に乗せられる自転車が欲しいんです!」と相談したんですが、「ないよ」と言われてしまって。あちこちに相談しましたが、「難しい」と断られ続けました。「じゃあ作ろう!」と(笑)。自分でやろう、と決めました。
――ふたごじてんしゃでは「アセスメント販売」という手法をとっていますが、どのような仕組みで、狙いはなんですか?
「ふたごじてんしゃ」と聞くと、双子を育てている皆さんがとても関心を持ってくれるんです。しかし、これまで説明したように特殊な車両なので、すべてのご家庭に万能ではありません。せっかく買ったのに、自分の思うような使い方ができなければもったいない。ですから購入前に、「なぜ、ふたごじてんしゃが必要なのか?」「どんな暮らしがしたいのか?」と立ち返り、自分にとってこの自転車が本当に必要なのか考えてもらうようにしています。
――ユーザーに寄り添った、とても大切なことですね。
本当に使える人に使ってもらえること。少しであっても喜んで必要としてくれる人たちがいてくれるということで、作り手が喜びをもって作り続けることができるんです。使い手と作り手の両者がお互いを必要とすることが、何よりも大切だと思っています。
――ユーザーからはどのような声が届いていますか?