参加者がソーシャルディスタンスを保って、新型コロナウイルスの感染を予防しながらイベントを開催するため、鉄人広場(神戸市長田区)に登場した「鉄人スクエア」が、今月23日に初めて利用された。
新型コロナウィルスの終息が見通せないなか、各地のイベントも開催の是非や、その運営方法に苦慮している。鉄人広場でも、毎年夏に1万5千人以上が参加する「鉄人ビアガーデン」など10以上のイベントが中止となっていた。そこで「安全・安心の見える化」を目指し、NPO法人・神戸鉄人プロジェクトが先月、2メートル四方のマスを格子状に162マス(9×18列)敷設した。これによってイベント出演者や参加者は1マスに1人ずつ入れば自動的にソーシャルディスタンスが取れるというわけだ。横断歩道などと同じ方式(溶融式)を採用。同事務局は「全世界的な新型コロナウィルスの被害のメモリアルとして後世に残すため、あえて常設にした」と言う。
では実際にどのように活用するのか、市民からのアイデアを募集した。記念すべき第一弾の活用方法として採用されたのは、地元・新長田を拠点に活動しているスティールパン オーケストラ「ファンタスティックス」の公開練習だ。
「ファンタスティックス」は阪神・淡路大震災で被災した新長田で2001年に開催された、21世紀復興記念事業「長田ラテンミュージックストリート」をきっかけに、地元商店主らが結成。総勢27人のメンバーが大小さまざまなドラム缶約80個を打ち鳴らし、カリブのリズムと迫力のパフォーマンスでたくさんの笑顔を届けてきた。9月20日(日)に同広場で活動20周年の記念コンサートを予定しているが、コロナ禍で全員が集まっての練習もままならずにいたところ、コンサート会場でもある同広場に敷設された「鉄人スクエア」で、リハーサルから楽しんでもらおうと申し込んだ。
夏の日差しの中、鉄人28号のモニュメントの下で演奏を終えた「ファンタスティックス」のバンドリーダー山本亜純さん(44)は「4か月ぶりにメンバー全員で鉄人の前で練習ができて楽しかった。9月20日のコンサートでお待ちしています!」と笑顔で話した。また同法人の事務局長・岡田誠司さん(61)は「これからも鉄人スクエアを様々なアイデアで活用していただき、コロナ時代だからこそ生まれる感動や笑顔に出会いたい」と、さらなる活用に期待する。
「鉄人スクエア」の活用アイデアは引き続き同法人のホームページ等で受け付けている。
『KOBE鉄人プロジェクト』
https://www.kobe-tetsujin.com/