神戸市の精神科病院で起きた看護師らによる入院患者への虐待事件で、主犯格とされ暴行や監禁などの罪に問われた元看護助手の男(27)の第2回公判が28日、神戸地裁で開かれ、男は「身勝手な行動で患者さんに苦痛を与えてしまい、本当に申し訳ありませんでした」と改めて謝罪した。
検察側はこの日のうちに懲役7年を求刑し、弁護側は寛大な刑を求めて審理を終えた。判決は10月12日。
男はほかの看護師の男ら5人と共謀し、2018年10月以降、当時79歳の男性患者を病院内のイレのいすに座らせ水をかけるなどしたほか、病室で当時63歳の男性患者を床に寝かせ落下防止柵が付いたベッドを逆さに覆いかぶせて閉じ込めるなどしたとされる。男は、別の強制わいせつ事件で逮捕され、押収されたスマートフォンから虐待の様子をとらえた動画が見つかったことからこの事件が発覚した。
男は被告人質問で「病棟では男性患者を怒鳴ったり、車いすを倒すなどの行為が黙認されていた」と当時を振り返り「共犯の看護師と仲良くなり、患者に手を出して盛り上がるようになった」と述べた。
そして「自分はあくまでも看護助手であり十分な看護や医療の知識もなく、これ以上手を出すとどうなるかわからなかったので、虐待する様子を動画で撮影するだけだった」と弁解したが、検察官から「まるで被害者のことを配慮しながら虐待に参加していたのか」といさめられると、「一度だけ、共犯者に『虐待をやめよう』と言ったが雰囲気に流されてしまった。『けがをしない程度ならいいか』と思うようになった」と話した。
検察側は論告で「虐待の様子を撮影する役割を担った男が、虐待を積極的に持ち掛けた」と述べて懲役7年を求刑する一方、弁護側は「男は共犯者の中で立場的に頂点だったわけではなく、主導はしていない」と主張している。
一連の事件では、男を含む元看護師ら6人が逮捕、起訴され、男を除く5人が有罪(うち2人は実刑)判決を受けた。