お酒を飲みたくても飲めない人にぴったり、ノンアルコールのカクテル「オルタナティブアルコール」が話題を呼んでいる。ソフトドリンクとの一番の違いは、まるでお酒を飲んでいるかのような――まるで酔ったかのような――味わい・のどごしで、食事が進むこと。もちろんアルコールは入っていないので、そんなはずはないのだが……。『お酢博士』こと、「ミツカン」の食酢エキスパート、赤野裕文さんに話を聞いた。
――お酒とお酢の関係性を教えてください。
どちらも大きく括れば「発酵食品」です。例えば、日本酒に菌を加え、アルコールを酢酸に変えると米酢になります。つまりお酢の主成分は酢酸です。同様にワインからはワインビネガーができるように、酢はお酒からできる、と言えます。
――お酒がなければお酢はできないのですね……。効果は似ているのですか?
酢酸が血液中に吸収されると血管が拡がり、血流がよくなります。お酢を飲むとお腹がポカポカしますよね。これがアルコールを摂取した時、つまり酔った時と感覚が似ていると推察されます。
――私の錯覚でしたか……。それでも楽しめるのでいいです、二日酔いの心配がありませんし(笑)。
実は吸収の仕組みも似ているんですよ、アルコールとお酢のどちらも、胃と小腸の上部で吸収されますので。少し専門的な話になりますが、アルコールは肝臓で分解されると酢酸になります。順番で言うと、エチルアルコール→アセトアルデヒド→酢酸なのですが、このアセトアルデヒドの分解のスピードに個人差があり、二日酔いなどの原因になります。
――お酢を使ったカクテル「オルタナティブアルコール」の味わいの特徴を教えてください。
お酢の主成分が酢酸だと説明しましたね。酢酸の味わいの特徴は、のどがイガイガする、のどごしが良くない、などです。一方で、レモンなどの果汁に含まれるクエン酸は、酸味を感じるのは最初だけです。両者をうまく配合できれば、酸味に奥行きが出ます。ここに酸味を和らげる効果がある苦味を組み合わせながらカクテルに仕上げれば、非常に面白いと思います。