~2020 大阪の選択~「府市合わせ(=不幸せ?)」にラスト審判 (1) 神戸・京都で問う“大阪都構想”

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 大阪市を廃止し、4つの特別区に再編する「大阪都構想」の住民投票が11月1日に迫った。

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 大阪市選挙管理委員会によると、市内の有権者は224万6241人(9月1日現在)。10月12日の告示後、すでに約10%にあたる22万8470人が期日前投票・不在者投票を済ませた(10月25日午後8時現在)。前回の2015年の同期間(告示日から14日間)と比べて20%以上の増加 。新型コロナウイルスの感染を避けようと、投票を前倒しする有権者が増えたと分析している。

大阪市役所
大阪市役所
大阪府庁
大阪府庁

 都構想の議論は、大阪府と大阪市の権限が一部で重複することで効率の悪い行政運営となり「府市合わせ(=不幸せ)」と揶揄(やゆ)される府と市のこれまでの関係が起点となっている。 2015年5月17日、 法的拘束力のある住民投票としては、日本政治史上最大級の住民投票が行われ、反対票が賛成票を僅差で上回った(反対70万5585票、賛成69万4844票)。都構想を推進した当時の橋下徹・大阪市長(当時・維新の党最高顧問)は市長任期をまっとうした上で政界を引退すると表明したのは記憶に新しい。

推進する大阪維新の会は「府市合わせ(=不幸せ)」二重行政の弊害を訴える
推進する大阪維新の会は「府市合わせ(=不幸せ)」二重行政の弊害を訴える

 あれから5年、都構想推進派の松井一郎・大阪市長(大阪維新の会代表)らは効率の悪い行政運営この状況を「二重行政」という問題意識に変え、都構想を実現させれば、これが解消されて地域としての成長に結びつくと主張する。
 一方、 反対派の市民団体などは大阪維新の会が知事・市長の両ポストを占めるようになった後の2012~2017年度の実質府内総生産の伸び率は0.61%で、国全体の国内総生産(GDP)成長率の1.19%を下回る点を厳しく追及する。

 二重行政を制度的に解消すれば大阪が成長するのだろうか。神戸市と京都市で聞いた。

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神戸・三宮
神戸・三宮 久元喜造神戸市長は「特別自治市」制度を自身のブログでも支持

■神戸市西区・60代自営業男性・・・賛成 神戸市も「特別自治市」のあり方も考えて

「大阪都構想」、神戸に住む者としては単に高みの見物ではすまされないと思います。東京勤務の経験もありますが、関西全体が元気がないし、大阪が関西を引っ張る存在であってほしい。ただし神戸もただの衛星都市になってしまってはいけない。確かに東京以外で実現したことがないですから、市民は判断に迷うと思います。しかし、超高層タワーを建てて、結局使い物にならず売却、図書館をはじめいろんな施設が二重にあるのはおかしい。よく道府県と政令市は仲が悪いというイメージはありますが、25年前に阪神・淡路大震災があり、神戸市と兵庫県との関係は助け合いながら歩んだ印象はあります。大阪ほどの摩擦はない思いますが、神戸市で将来取りうる手段は道府県から独立して国の所管以外の全ての事務を担う「特別自治市」というあり方。久元市長もそうした考えを示していましたし、時代の流れとともに大都市の存在意義も変わるんじゃないかと思いますよ。

京都・鴨川
京都・四条大橋から鴨川を望んで 伝統的に京都市は京都府より強い?「大阪の争点わからない…」

■京都市西京区・30代会社員・・・反対 京都市では考えられない!すみ分けできている

 5年前に反対票が賛成票を上回って、当時の橋下(徹) 大阪市長が政界を引退すると発言したのは覚えてますよ。「やっぱり、そう簡単には政令指定都市を廃止はできないんだな」と思いました。でもそれから5年経って、再燃したことが驚きです。正直、維新の会が「勝つまでやる」、住民投票で市民に賛成と言わせるまで続けたい、というのが本音のような気がします。京都府と京都市の関係でいうと、伝統的に京都市が強い、声が大きいです。肌感覚で、京都府は一切京都市に口出ししないという“ すみ分け ”ができているんじゃないかと思いますよ。大阪に関して言えば、争点、問題点が全くわからないです。だってどこもこの論争(都構想)で住民投票してないですから。

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1889(明治22)年に市制が施行された大阪市、131年目に存廃迫る「大決断」
1889(明治22)年に市制が施行された大阪市、131年目に存廃迫る「大決断」

 1日の住民投票で賛成多数になれば、2025年1月1日に大阪市は廃止される。廃止されれば、1956年に始まった横浜・名古屋・京都・大阪・神戸の5つの都市のうち、初めて消滅することになる。コロナ禍で下す大阪の決断、「府市合わせ(=不幸せ?)」に対する市民の最後の審判はどうなるのか。次回(11月1日)は大阪市民の本音を聞く。

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