神戸・湊川神社「日本最古のオリーブ樹」からオリーブオイルを抽出 神戸大学大学院チームが起源樹DNA鑑定中

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 神戸市中央区の湊川神社で「日本最古オリーブ樹 初収穫・初搾油 報告会」が10月30日に行われた。

 神社の正門をくぐるとすぐ左横に、推定樹齢150年、国内最古とされる高さ14メートルのオリーブの樹がある。今年この樹から初めて果実が収穫され、手搾りでオリーブオイルが抽出された。

日本最古のオリーブの樹(湊川神社提供)
日本最古のオリーブの樹(湊川神社提供)

 前もって10月8日に神職が脚立を使い丁寧に摘み取り、神前に供えられた果実を密閉袋に入れ、手で一粒一粒潰した後、揉み込むこと2時間。それを遠心分離機にかけると、トマトや青リンゴを思わせる爽やかな香りとともに薄緑色の「エキストラバージンオリーブオイル」が抽出された。その量、果実2.2㎏からオイル35㎖。

試食する西原秀樹権宮司(写真:ラジオ関西)
試食する西原秀樹権宮司(写真:ラジオ関西)

 報告会では、神戸大学名誉教授(神戸オリーブ資源研究所)の中西テツさんにより、「湊川神社のオリーブ樹秘話」と題して講演が行われ、搾油されたオリーブオイル、オリーブの葉を焙じて作るオリーブ茶、オリーブの実の新漬けが参加者に配られた。

搾油したオリーブ油を掲げる中西テツ神戸大学名誉教授(写真:ラジオ関西)
搾油したオリーブ油を掲げる中西テツ神戸大学名誉教授(写真:ラジオ関西)

 神戸では1879(明治12)年、殖産興業国策の一環で現トアロードの東側(神戸市中央区山本通2丁目)の「三田育種場神戸支園(みたいくしゅじょう・こうべしえん)」(約1町歩)にオリーブ苗木550本が植えられ、1882(明治15)年には、わが国初のオリーブの塩蔵品製造と搾油に成功する。1884(明治17)年、日本初の「官営」オリーブ園として、「神戸阿利襪園(こうべ・おりーぶえん)」に改称した。

 湊川神社の鈴木智子広報室長によると、「1879年に植えられた苗木のうちの1本を、当時同社の宮司であった折田年秀が譲り受け、境内で大切に育てたのでは」と語る。オリーブ園を主導した前田正名と折田宮司が親しい間柄にあったためだ。

 1945(昭和20)年、太平洋戦争時の神戸大空襲、1995(平成7)年の阪神・淡路大震災、幾度となく襲った大雨や台風の天災を乗り越えてきた、湊川神社のオリーブ樹。2016(平成28)年、オリーブの木の天敵「オリーブアナアキゾウムシ」による深刻な被害という最大の危機を樹木医の懸命の治療で徐々に回復の兆しが見えてきた、「奇跡のオリーブ」なのである。さすが不屈の「楠公精神」を根底に持つ「楠木正成公」をご祭神と仰ぐ湊川神社境内に生育する「ど根性オリーブ」といえる。

 そのオリーブ樹の「起源樹のDNA鑑定」を行うのは、神戸大学大学院農学研究科園芸植物繁殖学研究室の安田剛志教授(農学博士)のチーム。安田教授によると「本来オリーブはモクセイ科の常緑高木、イタリア・スペイン・トルコ・ギリシャなど地中海周辺を中心とする産地であるが、フランスや地中海対岸のアフリカ、中東地域、中央アジア、アメリカに渡ったものもある」。当該の「日本最古のオリーブの樹」がどこの原産なのかを特定するにはDNAを採取して検査する必要があるとのこと。

 研究室では、鑑定について「新しく柔らかい葉から(DNAを)採取するため今年6月くらいから開始した」。本来は「梨」「りんご」「さくらんぼ」などの自家不和合性植物の研究を専門としている同教授の研究室の学生・石井さんと児玉さんは「安田教授とともに研究を重ねることにより神戸のオリーブの歴史も知ることができて、とても興味深く楽しい」と語っていた。

DNA鑑定中の神戸大学大学院農学研究科チーム(写真:ラジオ関西)
DNA鑑定中の神戸大学大学院農学研究科チーム(写真:ラジオ関西)

 なおDNA鑑定の結果が出るまでは、しばらく時間がかかるとのこと。今後この推定樹齢150歳、日本最古のオリーブの樹のルーツが解明される日を心待ちにしたい。

(文:黒川良彦)


湊川神社(楠公さん)
http://www.minatogawajinja.or.jp/

インターナショナルオリーブアカデミー神戸
http://www.olive-academy.jp/

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