イギリス・ロンドンの中心部にあるロンドン・ナショナル・ギャラリーが所蔵する名品を集めた「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」が、大阪市北区の国立国際美術館で11月3日に始まった。61点が展示され、すべてが日本初公開。【※イベントは終了しました】
ロンドン・ナショナル・ギャラリーは1824年にオープン。王室の収集ではなく市民の手で所蔵作品が集められた。13世紀のイタリア・ルネサンスから20世紀初頭の近代までのヨーロッパ絵画の名品2300点を所蔵し、年間600万人が訪れるという。これまで所蔵作品数点が、他の美術館などに貸し出されることはあったが、これほどの規模で作品が展示されるのは世界初という。幅広く質の高いコレクションは「西洋絵画の教科書」とも言われ、イギリスとヨーロッパ大陸との交流という視点から、長いときの流れの中で美術がどう変わっていったのかをひもとく。
すべてが日本初公開となる作品のなかで、注目すべきはゴッホの「ひまわり」。ゴッホは生涯で7枚のひまわりを残したが、このうち最も出来が良いといわれる4作目が展示されている。1~3作目の背景は青だったが、この作品で黄色に。花も黄色、花瓶も黄色だが、筆圧や絵の具の凹凸などから立体感を生み出している。
フェルメールの「ヴァ―ジナルの前に座る若い女性」。フェルメールは生涯30数点しか作品をのこさなかったが、これは最も晩年の作品となる。ヴァ―ジナルはチェンバロに似た楽器という。光のさし方などから、この女性がどんな人なのか、思いを巡らすのもよい。
展示は時代を追って国ごとに構成されている。イギリスに軸足を置きながらイギリスがヨーロッパ美術のどのようなところに興味を持ったのかを読み取ることができる。
「展示は61点と、少ないと思われるかもしれないが、すべてが主役級。見終わった後は満足感でいっぱいになるはず」と国立国際美術館の橋本梓主任研究員は話す。
なお、この「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」は、新型コロナウイルス感染症対策として、日時指定券を導入しており、美術館でのチケット販売はない。
「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」
2020年11月3日(火・祝)~2021年1月31日(日)
国立国際美術館で開催
大阪市北区中之島4-2-55
公式サイト https://artexhibition.jp/london2020/