兵庫県丹波市には95メートルという本州では最も低い場所に中央分水界があり、ここから太平洋側と日本海側に水の流れが分かれていきます。そこにあるのが「水分れ公園」。近くには、いそべ神社もあります。
明智光秀ゆかりの地として注⽬される兵庫・丹波について、歴史をはじめ多⾯的に取り上げる『ラジオで辿る光秀ゆかりの兵庫丹波』(ラジオ関⻄)11月26日放送回では、この水分れ公園とその周辺について取り上げました。
JR石生(いそう)駅から東に川沿いを山の麓まで歩いたところにあるのが、いそべ神社。そこから、番組パーソナリティーで、「兵庫・神戸のヒストリアン」として活躍する田辺眞人・園田学園女子大学名誉教授の歴史トークをお届けします。
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◆田辺先生の歴史トーク
最寄りのJRの駅の名前が「石」が「生まれる」と書いて「石生(いそう)」駅です。そして、ここの神社の名前はなかなか珍しい字。やまへんに石と書く字と部分の「部」の二文字で「いそべ」(?部)です。おそらく「いしべ」だったのでしょう。同じ仕事をする人のグループを「部」と言います。今なら人事部とか総務部とかいう「部」ですが、古い時代にはこれを「べ」と読みました。部員のことを「部の民」(べのたみ)と言っているんです。
“いそべ”というのは、石の仕事をする人たちのグループという意味でしょうね。「物」は武器のこと。武器を扱う仕事をするグループを「物部(もののべ)」と言いますね。
JRの福知山線「石生」駅の西側は広い平地ですが、東は急な山。秋から冬にかけて木が葉っぱを落とした時に、東の山を見ると山の中腹には大きな岩ばっかりゴロゴロしています。おそらく、石を切り出して、古い時代には古墳を作ったり、石材の仕事をする人たちが住んでいた地域で、「いそべ」という名前が付いたんだろうと思います。
いそべ神社の奥には「剣爾山(けんじやま)」という三角形の山があります。ご神体の山”神奈備山”です。巨石がゴロゴロしていて、古い時代からの信仰の対象の場でした。
『ラジオで辿る光秀ゆかりの兵庫丹波』2020年11⽉26⽇放送回音声