■3「密」・「密」室での政治判断・リモートやオンラインで「密」に
日本漢字能力検定協会(京都市東山区)は14日、漢字一文字でその年の世相を表す「今年の漢字」が「密」に決まったと発表した。世界文化遺産・清水寺(京都市東山区)の国宝・本堂で、長期にわたる修理が完了したばかりの「清水の舞台」で森清範・貫主が揮毫(きごう)した。「密」は11月1日~12月6日に全国からあった応募のうち最多票を集めた。「今年の漢字」は阪神・淡路大震災のあった1995年に始まり、2020年で26回目。
主催する日本漢字能力検定協会(漢検)によると、インターネットやハガキ、全国に設置した応募箱に寄せられた20万8,025票のうち、第1位となった「密」(ミツ/ひそかに)は約13%の2万8,401票。第2位「禍」(カ/わざわい)6.56%の1万3,655票、3位「病」(ビョウ・ヘイ/やむ・やまい)4.98%の1万369票、などの順。
昨年(2019年)は、新元号「令和」の時代を迎えたことなどから「令」が選ばれた。
漢検の分析では、「密」が第1位となった理由として、世界中が新型コロナウイルス感染症流行の影響を受け3つの「密」=3密という言葉が提唱され、生活・行動様式が「密」にならないよう国民が意識したことが挙げられるという。
また、日本学術会議の一部会員の任命拒否といった政治判断が「密」室で行われたことや、新しい生活様式が提唱され、在宅勤務でのリモート会議、オンライン飲み会など、遠方の知り合いや親類などと映像を通してバーチャルに会う機会が生まれ、物理的距離があるなかでも「密」に人との関わりを持つ意味合いもあるという。
そして、何よりも来年こそは対面で「密」に人と関わり合えるようにとの願いもこめられたのではないかとも分析した。